僕は君が

ときめきの用例採集

宝塚月組公演ショー『BADDY~悪党は月からやって来る~』

当日券で観てください、とお願いしたくなるほどに『BADDY』を楽しんだ!東京公演がまだということでネタバレはふんわり(当社比)。それでもアレコレ書いているので未見の方はご注意ください。BADDYに関しては正直、何がネタバレに該当するのか謎すぎて……。そうだ、ライブビューイングも決まったそうなのでそちらもぜひ!完全にBADDYの回し者。

natalie.mu

 

ああBADDYだいすき!やみつき!BADDY中毒!ふらりと訪れた宝塚でたまたま観たショーにここまでハートを撃ち抜かれるなんて嬉しい予想外!2/23に観て夢中になって、2/25の東京公演チケットの一般発売めっちゃくちゃ頑張った……!東京でもBADDYを拝むんだという強い意志。BADDYの世界からまだまだ戻ってこれていない片鱗はこちら。

一ヶ月経った今でも本当にずっとこの歌を口ずさんでる……。歌詞の詳細が知りたすぎる。パンフレットにこのナンバーの歌詞が載っていなくて泣いた。

まず、ストーリーはこちら。

舞台は地球首都・TAKARAZUKA-CITY。世界統一され、戦争も犯罪も全ての悪が鎮圧されたピースフルプラネット“地球”に、月から放浪の大悪党バッディが乗り込んでくる。バッディは超クールでエレガントなヘビースモーカー。しかし地球は全大陸禁煙。束縛を嫌うバッディは手下たちを率い、つまらない世の中を面白くするためにあらゆる悪事を働くことにする。彼の最終目標はタカラヅカ・ビッグシアターバンクに眠る惑星予算を盗み出すこと。しかし、万能の女捜査官グッディの追撃が、ついに彼を追いつめる!
なお、この作品は演出家・上田久美子の初のショー作品となります。 

月組公演 『カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-』『BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

 

なるほど、分からない。世界観がぶっ飛んでいる。ここまでトンチキっぽいショーを観るのは初めてだなぁと、当日の休憩時間中は余裕たっぷりにパンフレットを眺めていた。『カンパニー』で美しさに惹かれた海乃美月さんの配役などをチェック。それなのにもう始まった瞬間から、頭に地球乗ってる!?TAKARAZUKA-CITY!?宇宙服!?などツッコミどころ多発で渋滞するレベル。すごいものを観ているぞ、という確信だけがひしひしと。素人にも伝わる何でもあり感。開演アナウンスは本編が始まってからだし、トップさん登場でまさかの笑いが起こるし、ハチャメチャ感が癖になる!その上、ストーリー仕立てのショーだからか、『カンパニー』同様あちこちで色々とやり取りが行われていて、目が足りない現象が続く、続く。目がほしい……(デスミュ)。キャラクター造形の作り込みが細やかで、月組キャストさんに詳しかったらもっと盛り上がれた気がする。
観終えた後の感想としては、観劇前の予想とは180度違っていて、単純にトンチキなショーではなかった。宝塚の伝統があるからこそそれを逆手にとって成し遂げられたショー演出で、ある意味、伝統にものすごく信頼を置いているのでは。宝塚にあまり詳しくない私としてはむしろ、宝塚愛をより深く感じるショーだった。悪いことを積極的に行うバッディの自由奔放さや、レールや枠からほんの少し外れることを望んでしまうグッディの好奇心や冒険心ともリンクしているように思える演出。

ナンバーで大好きなのは「悪いことがしたい」。このタイトルは勝手に命名。畳み掛けるように美しい人たちが次々に歌い上げていくこのナンバーが大好きすぎてもう!美の洪水っぷりが凄まじいのでここは目に焼きつけるべき!「悪いことがしたい いい子でいたい」という歌詞もキャッチーすぎて強烈に頭に残る。相反する願望への葛藤を簡潔に表現していながらも、「悪いことがしたい いいことがしたい」という歌詞じゃないのが突き刺さる。『BADDY』で描かれる「悪いこと」って、舞台中盤で行われる悪のレッスン(コミカルなのに非常にキュンキュンするというずるすぎるシーン)でもある通り、絵に描いたような「悪いこと」なのだ。その対の表現として「いい子でいたい」と、10文字にも満たない言葉で的確にまとめられているのが、うわ~~~よい~~~!と熱狂した。『BADDY』では「悪いこと」が潔癖なほどに排除された無菌のような世界や生き方の窮屈さを問うていて、周囲から称えられるほどのいい子でもそのレールから外れてほんの少し「悪いこと」もしてみたい、という心情も描かれている。悪いことを賛美しているわけではなく、無味無臭の真面目な世界を是としているわけでもない。その匙加減がほど良くて、冒頭では突飛に思えた設定もいつの間にかすんなり受け入れられた。……いや、でも、TAKARAZUKA-CITYとか出向銀行員(宇宙人)とかシーフードレストランはいま思い出しても笑う。

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キャスト別感想。ああ、ストーリーに添った感想も書きたい。若干おぼろげな今の記憶でパッションの赴くままに書こうか、東京公演を観てある程度記憶を復活させてから書こうか。まあ結局、書くことは既定。『BADDY』は色々語らずにはいられない!宝塚初心者なので、い、今さら……!?と思われそうな感想も書いている可能性大。もうむしろ、宝塚情報をいただきたい。特に美弥るりかさんと海乃美月さん情報をプリーズ。

珠城りょうさん。悪党、バッディ。男くささのある悪い役が素敵すぎて、ちょっと勘違い気味なところも愛おしい。大階段に佇む宇宙服姿のバッディを目にしたときは、これ笑っていいの……?と正直ちょっと戸惑った。まさか大階段に立つ男役トップさんを目にして笑ってしまう日が来るなんて。それなのにその後、白いスーツ姿で悪びれなく煙草を吸ってみせる姿が圧倒的にかっこよすぎて、『カンパニー』の青柳さんとのギャップに悶えた。朴念仁から悪い男まで幅広く演じられる珠城りょうさん素晴らしいな……!バッディはただの悪党じゃなく、酔っ払ってお土産を持って帰ってきたり、指揮者から指揮棒を取り上げて好き勝手に指揮したり、憎めないキャラクターで可愛らしさがある。手足が長い珠城さんだからこそ、邪魔だどけ!と周囲を蹴散らすあのシーンが見事に映えていてカリスマ性も半端ない。女性たちを侍らせる姿も非常に様になっていてうっとりするほど。そんなバッディがグッディの言動に逐一勘違いしたり翻弄されたりで、そりゃスイートハートも焦りますよねと納得しかない。
『BADDY』は宝塚伝統のショー演出も逆手にとって攻めていて、バッディによる開演アナウンスには心底驚いた。ショーって開演アナウンスがないまま始まるんだっけという冒頭の疑問が見事に回収されるカタルシス。ああいう幕の開け方は珠城さん演じるバッディが魅力的な悪い男だからこそ成り立っているんだろうなぁ。バッディだからこそ蹴散らせる伝統。高らかに笑ってみせても嫌味がなくて、なかなかの悪いことをしても冷酷非道とまでは思えなくて、本当に神がかったバランスの魅力。


愛希れいかさん。凄腕の女性捜査官、グッディ。何だあの絶世の美女は!ひたすらに可愛くて美しい!衣装がまたどれもこれもキュートの極みなんだけど、私が一番好きなのはホタテ貝のときの衣装。ほ、ホタテ貝……?と自分で書いていても疑問符だらけだけど、ホタテ貝姿のグッディは美の女神。これだけは間違いない。そりゃお持ち帰りもされる。シーフードに扮装して捜査ってどういうことだよ!とツッコミを入れていたけれど、ホタテ貝グッディを拝めるのでシーフードレストランは必要な場面。はい、掌をくるっくると返します。大胆に太腿までスリットが入ったドレスで、愛希れいかさんのポージングが息を呑むほどにしなやかだから、グッディの一瞬一瞬すべてが美しい。その美貌だけで地球を掌握できるんじゃないですかね、と思えるほどのグッディがバッディと出逢った瞬間から心を乱されていくのがまさに少女マンガ。いい子な委員長女子がちょい悪男子に惹かれていくってあるある。バッディとグッディの場合、お互いに無意識で相手を翻弄している部分もあるのでそれがまた最高。しかもグッディはただただ可愛いだけじゃなく(それでも十分なのだけど)、凛として力強くもある。とうとう怒りを爆発させたグッディのあの立ち姿は最高オブ最高。怒りのロケット、よい。女子たちを引き連れてセンターで堂々と踊る姿は拍手喝采したくなるかっこよさで、生命力溢れるグッディから目を離せなかった。パワフルなエネルギーに圧倒されるというよりもひたすらに嬉しくなる。


美弥るりかさん。スイートハート。男でもなく女でもない存在。一人だけ濃いめのピンクのスーツ姿で気だるげに長髪を垂らしているのが素敵。グッディとはまた別の意味で、地球を掌握できそうなスイートハート。絶対に、君こそ俺の(私の)スイートハートだ、と男女問わず数万回このセリフで口説かれてること間違いないでしょ……!最初、スイートハートが本人の名前だと認識できていなくて、あ、バッディの恋人的存在(スイートハート)ってことね、と早合点していた。あの二人が仲睦まじいからついつい、そっち方向なのかと。煙草の火を分け合うシーンってあらゆるドラマでも漫画でも繰り返して見ているのにどうしてこうも心を奪うのか。バッディとスイートハートの二人が並び立つだけで最強。フェロモンだだ漏れで妖艶かと思えば、バッディ絡みではほんの少し無防備な表情も見せていて、すべてにおいて罪作りすぎるスイートハート。その隣で自然体でいられるバッディはただ者じゃない。バッディが女性を侍らせるなら、スイートハートの周囲には男女を跪かせてほしい~~~。そして全部無視してほしい~~~。色気溢れる流し目とほんの少し開いた唇がたまらぬ。変化していくバッディにやきもきしていたはずのスイートハートが最終的には、グッディのために信念を貫いたポッキーを抱き締めるシーンは性愛を超越していてただただ美しかった。
美弥るりかさんそのものが「スタイリッシュ」という言葉を具現化しているような佇まいでまさに眼福。『カンパニー』の高野さんが恐ろしいほどにかっこよかったので、スイートハート登場時の「邪魔よ、どいて!誰も僕を止められない」の一言の衝撃たるや!イケナイモノを目撃した気分!男役の方のドレス姿ってドキドキする。美弥るりかさんには中性的で儚げな雰囲気があるので、スイートハートのドレス姿はこの世ならざるもの感がより強くなっていて、いやー美しかったなぁ。『カンパニー』高野さんみたいな影のある男性、スイートハートのようにジェンダーレスなキャラクター、その両方ともにハートを射抜かれたので一度の公演で二度楽しめるって何てお得なんだ!と初心者としては感動してしまった。


月城かなとさん。ポッキー巡査。『カンパニー』でのアイドルから一転、コミカルで憎めないキャラクターのポッキーを演じた月城さん。ここの振れ幅もすごい。グッディのことが大好きで振り向いてほしくて頑張るけれど、その思いは全く伝わらないポッキー巡査。結構すぐしょぼんとしちゃう感じがいじらしくて、ポッキー頑張れ!と応援したくなるほど。ロブスター(?)の被り物姿のまま拉致されそうになる展開には心底笑った。ポッキーのために開催された悪のレッスンでも終始戸惑っていたのにパスポートの偽造だけは上手で、みんなから褒められて照れているのも微笑ましい。やってることはかなりの悪事なんだけどな!悪のレッスンではそれぞれのキャラクターらしさが描かれていて、得手・不得手分野に納得しかない。スイートハートはたしかに、パスポート偽造のような繊細作業向いてなさそう。ポッキーとスイートハートにもう少し時間が与えられていれば、お互いを補い合えるよい相棒になれたのでは。でもポッキー巡査が望むのは、バッディたちの元での刺激的な日々ではないというすれ違い。ポッキー巡査の心情ってそこまでフォーカスされないけれど、グッディへの愛情については結構こじらせている印象を受けた。少しだけでも振り向いてほしくて悪事に手を染めるってなかなかの闇案件。それなのに闇を感じさせずむしろ笑いを生み出せるって稀有な存在すぎる。最後の選択もポッキー巡査らしくて、その信念を掬い上げてくれるスイートハートが隣に寄り添ってくれていてよかったとしみじみ思った。そういえば、ポッキー巡査は愛くるしいな~と穏やかな気持ちで観ていたのに、あの特徴的なメガネを外してクールに振舞うダンスシーンがあるなんてズルイ。あれはかっこよすぎる。『カンパニー』でもつくづく感じていたけれど、月城さんはお顔がよい。


宇月颯さん。バッドボーイの一人、クール。文句なしのかっこよさ!悪い男らしい影が垣間見える麗しさに震えた。バッドボーイは各種イケメンを取り揃えていて素晴らしいですね。早乙女わかばさん演じる王女とのほのかな恋模様がひっそりと繰り広げられていて、『カンパニー』同様カップリング多いな!?と嬉しい悲鳴。本当に目が足りない。油断してると、アイコンタクトとかもろもろを見逃してしまう。悪のレッスンのパスポート偽造シーンで、ポッキー巡査ともほんの少しやり取りしているように見えたけど、あれは私の願望が引き起こした幻覚……?実際に起こってました……?よし、東京公演で確かめてこよう。


海乃美月さん。バッディーズの一人、ファニー。ええ……?セクシーで美しすぎない……?あんな姿を大観衆の前で見せても大丈夫……?『カンパニー』でのジャージ姿みゆみゆとは打って変わって、一気に素肌を露出していてドキドキした……。肌が白すぎる。腰が細すぎる。惜しげもなく見せられた鎖骨が美しすぎる。当たり前のように膝枕してもらっているバッディが羨ましくて羨ましくて!バッディーズは悪のレッスン時にバッディとイチャつくのが最大の見せ場っぽい。このシーンは悪のレッスンも見たいし、バッディたちの悪ふざけも拝みたいし、目が足りなくて困った。「悪いことがしたい」と美しいソプラノで歌い上げる海乃さんの腕と腰の動きが目を瞠るほどしなやかで、あんなの見惚れるしかない。リズムに乗って揺らす腰つきがすごく滑らかで美しい。パンフレットには私が一番好きな衣装でのお写真が収められていなくて涙。宝塚のパンフレットって全体的に舞台上の写真は少なめな印象(稽古写真が多め?)なので、舞台写真はブロマイドを購入して楽しむのがベターなのかな。


善悪のジャッジが厳しくなってグレーゾーンの範囲が徐々に狭まっている現代にも通じるものがある『BADDY』のテーマ。もう少しだけ自由になってみたい!という誰しもが持っているだろう気持ちを掬い上げて解放感を与えてくれるショーで、本当に心底楽しめた。一度観たら「悪いことがしたい いい子でいたい」と口ずさみたくなること間違いなし!東京公演は3/30からで私もまた観に行く予定。

 

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