僕は君が

ときめきの用例採集

舞台『おおきく振りかぶって』

2/6、『おおきく振りかぶって』舞台ソワレ公演を観てきた。ネタバレあり感想。

に、に、にしうらーぜ~~~!三星も桐青も武蔵野第一もいる~~~!青春が今ここに!オープニングのダンスだけで無性に泣きそうになった。ドラマチックはあかん。あれはあかん。おお振りでダンスってどういうことなの、と思っていてゴメンナサイ。ドラマチックが大音量で流れる中でのオープニング&エンディングダンス最高だった。
ただでさえイケメンの見分けつかないのに帽子まで被られたらもうお手上げだ、絶対誰が誰か分からない……と観劇前には悲壮な決意を固めていたはずが、いや分かる分かる!おお振り原作自体が普通の高校生たちのお話で特徴的な髪型もないからこそかえってよかったのかも。みんなそれぞれ、細かな動きからもキャラらしさが溢れていた。原作8巻分を詰め込んだがゆえの展開の速さは惜しいけれど、それでも原作に寄り添おうとしている誠実さをひしひしと感じられた。さすがは信頼と実績のキャラメルボックスさん。キャラ解釈が自分とは一部違っていても、舞台の○○はこういう感じでこのセリフを言うんだなぁと大体は楽しめた。惜しむらくは一つだけ。和さんのお父さんが「なかなかの人物」だと認めているほどの人なので、桐青監督の扱いはもう少しだけよくしてほしかった。選手のミスに怒鳴っているだけの監督じゃないんだ。

 

祖父の経営する中高一貫校の中等部から県立西浦高校に進学した三橋簾。
中学時代は野球部のエース投手であったがチームメイトから「ヒイキでエースをやらせてもらっている」と
うとまれ続けたため、極端に弱気で卑屈な性格になってしまった。
暗い思い出をぬぐいきれないまま、野球への未練と共に放課後の野球グランドを眺めていると、新設されたばかりの硬式野球部の女性監督、百枝まりあから強引に入部させられてしまう。
部員はわずか10人、全員1年生の中で、はからずもエースを任される三橋。
三橋の秘めた力をいち早く見抜いた捕手、阿部隆也との出会い、あらたなチームメイトに支えられながら
エース三橋、そして西浦高校野球部の挑戦が始まる…。

 

oofuri-stage.com

舞台は休憩なしで2時間10分。ストーリーとしては原作1~8巻までのエピソード。キャスト発表の段階から分かっていたことだけど本当に桐青戦まで終わらせる。三星戦まででも結構綺麗にまとまるはずだけど、三橋と阿部の二人の関係性を描くにはそれじゃたしかにあまりにも片手落ちなので、桐青戦までと決めたのは素晴らしい。ただ、はやいはやいはやい!スピーディー!忙しい人のための高速おお振りか。原作の特徴としてじっくりゆっくり細かく描いていく丁寧さがあるので、ああタメがない、と観劇中にどうしても感じてしまった。ここグッとくるセリフ・シーンのはずなのに予想以上に淡々と進行していくな、と正直戸惑う。私がエモさを求めすぎなのか。他に気になったのはおお振り原作の、投球の組み立て方などの駆け引きの面白さが舞台では薄まってしまっていた点。どうしてバントにするのか、どうしてストレートを選ぶのかなどなど原作では逐一理由が語られる。そのためモノローグが多いんだけど、舞台でこれを描ききるのはたしかに難しいだろうなぁ。原作のモノローグ部分は舞台では基本的にセリフとして声に出されていて、会話なのか独り言なのか心の中でのモノローグなのかは曖昧。少なくとも野球のルールはある程度頭に入れていないと、試合の展開や投球の駆け引きの妙などは伝わりにくいかも。一応、スコアボードのそばでマネージャー千代ちゃん&らーぜの一人が試合展開の実況をしてくれる親切仕様あり。こちとら長年おお振りを読んでいて、おまけに1月中ずっと読み返していたこともあって打者やヒット数までほぼ暗記しているレベルだったけどね!
観客はやっぱり原作に触れたことのある人が多めだったような。グッズでも原作絵やセリフを使用したものがあって、ここまで原作を推しているグッズ展開は珍しい気がする。モモカンあまなつぶっしゃーや阿部のクソレフト呼びの前からすでに、来るぞ……来るぞ……的くすくす笑いが起こっていた。ク、ソ、レ、フ、ト~~~!はどうしたって滾る。わかるわかる。そういう意味では、原作ファンが重視しているやり取りは極力採用されていた気がする。最大公約数的おお振り。主題歌にドラマチックを選んでいる時点で、さすがキャラメルボックスさん分かってる……!とひれ伏したい勢いだし、セリフも結構原作通りだったはず。ストーリーでは、らーぜの家庭事情や浜ちゃんたち応援団、ルリちゃんなどは潔くカット。それでも、シガポによるメンタルトレーニングや三橋家誕生日会のくだり、西広の初キャッチなどはちゃんと描かれていて喜ばしい。特にメンタルトレーニングの話はおお振りならではだから、シガポの説明もにこにこ聞いてしまった。

 

舞台セット。上手にバッターボックス、下手にマウンド。舞台上には白線が引かれていて、塁の場所は試合ごとに変わっていた。後方にはスコアボード。マネージャー千代ちゃんが点数を貼っていくのかと予想していたけど回転式だった。試合が進むにつれて裏側からくるりと回転させて得点がついていく。
演出。2.5舞台って映像の使用が比較的多いイメージだけどおお振り舞台では全くなし。ボールも一切使わず。テニミュみたいに光でボールを演出することもなく、演技力だけでその場にボールを存在させていた。試合シーンでは上手・下手に投手・捕手が分かれて正面を向いて座る配置が多めだったので、たしかにボールは必要ないのかも。面白かったのは日替わりネタの氷鬼。マネージャーの千代ちゃんがマイク片手に「篠岡千代の部活レポート!」と言って、らーぜたちの一日のトレーニングメニューを紹介するパート。そのラストで「ここからはガチです」と千代ちゃんが断りを入れて、らーぜたちの氷鬼開始。じゃんけんで鬼を決めて舞台上をガチで走り回る。私が観た回では花井くんが鬼を頑張っていて鬼の勝利。ちなみに、舞台の千代ちゃんはなかなかにたくましくて、阿部との距離をガンガン詰めていけそうだった。同年代のキャスト陣が集まっていることも関係してか全体的に仲良しな雰囲気。シガポ役の筒井さんがセリフを噛んだときには、え?とツッコミを入れたり拍手したりほんわかしていた。

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キャスト別感想。

西銘駿さん。三橋廉。小動物的仕草が多くて、裏声になったり涙声になったり、いい意味で原作のように阿部をイラつかせる三橋。他メンバーにスポットライトが当たっているときでも節々でびくついたり、視線をさまよわせたり。原作よりキョドキョド成分を抑え気味ではあるものの、他人との会話に慣れていなさそうなどもり方や間が三橋らしかった。原作ほどつっかえて喋っているとセリフが聞き取りづらいというのはあるだろうし匙加減が難しそう。序盤と桐青戦で喋り方にさほど違いを感じられなかったので、桐青戦でのオーバーヒート設定は改変されたのかな。この辺り曖昧。三星戦で織田が目をつぶってることに気付いて嫌な予感がしながらも阿部の指示通りの投球をするくだり、三橋の葛藤が全カットされていたのは少しびっくり。それでもその後の流れに違和感がなかったので(三橋のセリフでフォローされていた)、原作からの取捨選択が巧みな脚本なんだなと改めて実感。カーテンコールの西銘さんは笑顔がチャーミングでさすがは仮面ライダーゴーストWikiに載ってるtwitter返信のエピソード、よい。

 

猪野広樹さん。阿部隆也白哉兄さまやスガさんの人か~!声量があるのか舞台慣れしているからかキャスト陣で一番声が聞き取りやすくて安心安定。原作よりはかなり話が通じそうな阿部で少し笑えた。この阿部なら千代ちゃんと同中学であることもちゃんと覚えていそう。三橋相手に時々キレ気味の敬語になったり、あからさまに距離を置いての敬語になったりで、二人のやり取りもなかなか微笑ましく見えた。まあ、激しすぎる貧乏ゆすりなどもあって、さすがは常にイラついてる阿部だ……とも思えたんだけど。入部シーン時との落差が大きい。あのときの阿部って言ってしまえば猫を被っていて、「投げてみない?」「補欠だったの?」など三橋への言葉すべてがマイルド。語尾もやさしい。三橋の家で練習場を目にしたときの、「こいつの努力全部活かしてやりたい」のくだりには胸が詰まった。あのシーン、もう少しドラマチックに観たかった。


白又敦さん。花井梓おお振りでの推しの花井くん!!!田島を隣でずっと見てきて自分が凡人であることを嫌というほど痛感する花井くんがすき。白又さんは今回の舞台出演にあたって自ら頭を丸めたそうで、何だそれめちゃくちゃ推せる。バッティングセンターに通いつめたというエピソードもありがたい。序盤は声がかすれていて若干心配になったけれどたまたま調子が悪かっただけかな。監督が女なんてやってられっかよとモモカンに反抗的な冒頭の花井くんも、榛名との確執を語る阿部を気遣わしげに見つめる花井くんも、どれもこれもよかった。花井くんなら、いまだにわだかまりありまくりのエピソードを語る阿部をそういう風に見つめるだろうなぁというわかりみ。ダンスでは帽子のつばをさりげなく持っていてそれだけで滾る。腕を回す振り付けも、隣の田島が大きく勢いよく振り回しているのに比べて花井くんは隣に気遣っているように適度に小さく振っていて、そういう協調性が花井くん……!といちいち心の中で盛り上がれた。原作ファン楽しい。花井くんのターニングポイント10巻も舞台で観てみたい。
花井くん絡みで一つ衝撃だったこと。原作イラストを使用したキーホルダーで「もちろんすよ!」と言っている花井くんの姿があったから完全に期待していたのに、三橋ママとの絡みがなかった~~~!マジか~~~!友達のお母さんにちゃんとした対応ができる花井くんが見たかった~~~!そんなグッズの詳細はこちら。名台詞ラバーストラップに花井くんのあのセリフがラインナップしているのは嬉しい。

natalie.mu


納谷健さん田島悠一郎。アドリブとかフリーダムな態度とかどれもこれもすべて、まあ田島様だからな……と納得できる説得力。アドリブっぽいネタには大体田島が絡んでいた。というか任されていた印象。突然のバク宙とか、試合観戦に飽きて自分の靴の匂いを嗅ぐとか、女子の前でもオ○ニーと叫ぶとか、田島様とはかくあるべき。溢れ出る運動神経抜群オーラも最高。田島の突拍子もない行動には大体花井くんが巻き込まれていて、そういう細かなやり取りも原作を重視しているなぁと。ただ、三橋と阿部が(ある程度)心を通わせるまでを舞台の軸としているので、田島関連は結構カットされていて惜しい。バットを調整して打つところも準太のモーションを盗むくだりも詳細省略。準太のモーションを判断するくだり、野性児すぎて大好きなんだけどな。それと、類まれなセンスに恵まれた天才という一面だけじゃない、ぴりりとした田島も見たかったというワガママ。三橋家で、真似できるか?という阿部の問い掛けに「努力の賜物だろ」と返事する場面とか、ここは真面目に返してほしかったなぁと色々思うところはある。舞台がよかっただけにさらに求めすぎてしまうオタク……。


平田雄也さん。榛名元希。ZIP~~~~~~!?え、ZIPのハテナビの人!?今さらwikiで知ったけれどハイキュー岩泉役でもあったのか……。朝はZIP派なのにこれまでまったく気づかずにハテナビを見てた。ZIPでも思っていた通りとにもかくにもお顔がいい。榛名はそれほど出番はなく、阿部との再会&中学時代エピソードのみの登場。それでも、唯我独尊で容赦なく阿部を傷つけるけれど(あまり)悪気はないという榛名のタチの悪さが凝縮されていた。榛名の帽子のつばのカーブがものすごくイマドキっぽくて、これは平田さん独自のこだわりなのか気になる。一年坊主たちとはカーブの角度が違いすぎていて、こういうところ榛名だわ……と無性に納得した。ダンスシーンで初めの方は少し気だるげに踊っていて、そういうところも榛名だわ……と恐れ入った。田島とはまた違う意味での、ああ榛名だからな、という謎のわかりみ。秋丸とのコンビは文句なしに可愛い。阿部に圧倒的トラウマを植え付けている一方で秋丸とはお互いに理解し合えているところが、榛名のぞっとするような恐ろしさでよい。


川隅美慎さん。秋丸恭平。何だあのダンスのキレ!???強烈に目が惹きつけられる。隣に並ぶ榛名との比較もあって、秋丸が熱心にダンスしてる~~~!と面白くさえあった。榛名の足元に抱きつくポーズも秋丸らしい。観劇後に即wiki川隅美慎さんについて調べたところ、テニミュの財前とかなのか。財前でもキレキレで踊ってたのか気になる。ブログタイトルが明らかに「Re:ゼロから始める異世界生活」を意識していて、好きなのかな。榛名と秋丸には(多分)日替わりネタがあって、私が観たときは、にわとりは頭がなくても10ヶ月は生きるんだってというトリビアを披露していた。……何でそのネタを選んだ!?榛名はへぇ、マジで?と楽しそうに聞いていたけれどなかなか怖いぞ。秋丸としての出番がないときは三星や桐青のメンバーに扮していて、そのときでさえ目立っていた川隅さん。イケメンの見分けなんてつかないはずなのに川隅さんはどの選手を演じていても何故だか分かる……!


おお振り舞台を観た瞬間自分は泣いてしまうんじゃないかと思っていたけれど、一番涙が溢れそうになったのはオープニングのダンスシーンだった。予想外。目が足りない!と悔しくなるほどで、私がおお振りに感じていた青春はあのダンスに詰め込まれていた。本編ではあまりタメがなくて涙腺が刺激されなかったというのもある。それでも、少し泣いたシーンが二つ。三星戦で畠くんを責める叶くんに対して、「それはあんまりだ!畠は叶のために悪役やってたのに!」と他メンバーが畠くんを庇って反論するシーン。ここ、原作で大好きなシーンなので舞台でも取り上げられていて嬉しかった。三橋が「善」というわけじゃないんだ。そして、ラストの和さんと準太のシーン。和さんんんんんん!原作通りという点もたしかにあるけれど、舞台上の桐青戦を観戦してきた上での涙だった。おお振り舞台の桐青というチーム、和さんと準太というバッテリーの絆への涙。

原作ファンとして思い入れが強い分色々求めてしまっているのは否めないし、アレコレ書いたけれど、それでも誠実に、最大公約数的におお振り原作を舞台化してもらえたと感じている。原作ファンの私にとって、しあわせな舞台化だった。公式サイトでは「そして西浦高校野球部の挑戦は続く……Coming Soon」という記載があるので、いつかまた、原作の続きを同じキャスト陣で演じてもらえると嬉しい!

odaibako.net