僕は君が

ときめきの用例採集

劇団☆新感線『髑髏城の七人 season月 下弦の月』(12/20)

劇団☆新感線『髑髏城の七人 season月 下弦の月』の12/20ソワレ公演の感想。ネタバレだらけなのでご注意を。去年の観劇の記録を新年早々しれっと書いてく。これまで書いてきた月髑髏関連の記事はこちら。

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先日観てきた上弦・下弦髑髏それぞれの感想はこちら。一度目のときの感想の方が基本的に暑苦しくアレコレ語っている。

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二度目の下弦髑髏。これで、上弦・下弦それぞれ二回ずつ観たことになる。
鳥風月ドクロ(花はLVでしか観ていない)のためにステージアラウンド東京には何度か行っているけれど、今回は初めてのセンターのセンター。ド真ん前。至近距離でキャスト陣を拝める!霧雨が感じられる!ただ、それ以外にはあまりメリットはなかったかなぁ。もちろん、臨場感アゲアゲのこのメリットは素晴らしいんだけど、360度回転という構造上、回る度に端っこが見えづらくなのは最前でも結局同じというか。7~13列目のセンター辺りがほどよくキャストとの距離感も近く感じられるし、俯瞰して見るにはちょうどいいのかもしれない。まるで13,000円賭けたガチャのようなステージアラウンド東京座席!前方の方の頭で舞台が見えないという悲劇を他の新劇場で今後生み出さないためにも、観客視点での座席設計などをもう少し考慮してもらえると嬉しいな。座席列のスペースも狭すぎて、センター付近の座席の人が自席に向かう場合、道中の席の人(特に男性)が立ち上がらなきゃいけないケースもよく見るから……。ああ、何度訪れても新鮮な気持ちで悪い点を書き連ねてしまうステージアラウンド東京……。修羅天魔千秋楽までに、これぞ!という席を13,000円賭けたガチャで引き当てられるのか、私は。
今回は21:52頃に終了。21:56発のゆりかもめに乗れた自分を褒めたい。

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キャスト別感想。
宮野真守さん。捨之介。宮野捨之介はやっぱり声が最高。声の演技が加わることで捨之介の全てに説得力マシマシ。特に弱っているときの呻き声や咳き込み具合は本当に凄まじくて、普段声のみで勝負している方は恐ろしいほどに違うな……と平伏すしかない。おまけに、キメるべきところはバッチリキメるので魅せられる~~~!見得を切るシーンやカーテンコールでの全てが絵になる!カーテンコールでの、こちらを焦らすほどの「ため」がめっちゃくちゃ捨之介っぽい。それから去っていくときの、振り返らずに掌だけひらひらさせるのも罪深い……。粋すぎるでしょ、宮野捨之介……!ああ、せっかくだから女の子と絡んでほしかった。
上弦・下弦でかなり違うと感じたのは、捨之介の狸穴への態度。無界の里で狸穴と初遭遇したときの福士捨之介はあれ?と怪訝そうな態度だったのに比べて、宮野捨之介はマジかよ!と言わんばかりの嫌悪感寄りの態度。うげぇ、って表情の宮野捨之介は圧が強い。「敵意」という視点で見るなら、天魔王に対してより狸穴、つまりは徳川家康への方が強く向けられている気がした。そんな宮野捨之介だけど、「捨之介」として狸穴に挨拶した以降は比較的朗らかに話している印象だったから、昔の縁を捨てたつもりにはなっているのかもしれない。初遭遇時は咄嗟の反応だからこそ取り繕えなかったのか。
天魔王に対しては、殿を喪って自由を得たのに何故それが分からないんだと本気で理解に苦しんでいそう。月髑髏の捨之介が一番執着(未練・後悔)を抱いている相手は天魔王説を提唱したい~~~。何と言っても、天魔王が落ちた直後の困憊っぷりには息を呑む。あの瞬間から一気に捨之介の闇が濃くなり、死が密接になる。ここで初めて本気で、浮世の義理も昔の縁も捨てたい、捨ててしまいたいと捨之介は思ったのかも。月髑髏の捨之介って何もかもを捨てたつもりになっているだけで、結局は捨ててない。徳川の兵を止める役目を自ら買って出る自暴自棄な感じ、これまでのドクロにはなかったものだ。今までの捨之介が無意識での自己犠牲精神(自分の命に重きを置いていない)で行動していたとするなら、月髑髏終盤の捨之介はむしろ自分の命を積極的に捨てに行こうとしている。これぞ捨て鉢。こうした態度を観ていて痛感するのは、捨之介は心の底から天魔王を止められる、説得できると信じ込んでいたんだろうということ。そう信じるに足るだけの絆を、かつての人の男との間に築けていると感じていたのか。えええええ。絶望的なまでの一方通行な気がするのは私だけでしょうか……。豊臣秀吉に降れって説いた挙句、刀も振り下ろさない捨之介は、天魔王と根本的に相容れないんだろうなぁ。捨之介の優しさ(甘さ)が最終的には天魔王にとどめを刺すという月髑髏の構成、最高に最高に好き。


鈴木拡樹さん。天魔王。鈴木天魔王がよすぎて初っ端から泣いてしまった。「六欲天をご存知か」の言い方がたまらなく好きだと思っていたのもつかの間、天魔の鎧に縋りつく天魔王を見ているうちに涙がこぼれてきた。こんなの初めて。膝から順に上へ上へ縋りついていくあの仕草がまるで寄る辺のない子どもみたいで、殿だけを求めているのが痛いほど伝わってくる。すぐに底知れない恐ろしさを湛えた冷酷な表情になったけれど、この鎧を得てから捨之介たちと再会するまでの天魔王の八年間に思いを馳せてしまう……。ドクロ冒頭で涙するなんて初めてすぎて、自分でも少々焦った。天魔王の八年間に今まで思いを巡らせたことなんてなかったからびっくり。人の男が天魔王になる瞬間のこの安土城シーンは月髑髏で初めて取り入れられたものだけど、いや~~~やっぱりいいな~~~。
早乙女天魔王を観た後だと、鈴木天魔王はマントや扇子をそこまで多用しない。早乙女天魔王がマントさばきや扇子で自らを大きく見せようとしているとするなら、鈴木天魔王は表情や視線でそういった表現をしている印象。上弦・下弦では髑髏党たちの天魔王への態度も違っていて、早乙女天魔王相手にはなでなでやハグをするけれど、鈴木天魔王にはほぼほぼ誰も触れない。生駒が「いかがされました?」と問い掛けるときにも、天魔王へ手を伸ばすけど身体には触れていない。それは最期まで一貫していて、喉に自ら刀を突き刺して天魔王ににじり寄って伸ばした生駒の手は、決して天魔王を捕らえない。手が届く前に生駒は果てるし、天魔王も歩み寄りはしない。鈴木天魔王が生駒に触れるのって、蘭兵衛に斬りかかる際の社交ダンスめいた殺陣と、事切れた生駒の身体を支えるときぐらい?完全な駒扱いなのかと思えば、生駒が亡くなってからの声に哀切っぽい響きもあるし、天魔王と生駒の関係は考えれば考えるほど楽しい。沼。
撃たれた蘭兵衛の左腕を咄嗟に支えた天魔王が「蘭丸、貴様!」と呼びかけたときのあの表情。蘭兵衛を駒だと言いながらも、その蘭兵衛に庇われた瞬間、明らかに感情が乱れる。捨之介の天魔王への執着(未練?後悔?)が一方通行すぎると上で捨之介感想で書いたけれど、天魔王と蘭兵衛の方がまだ互いに理解できる部分がありそうで、この二人と捨之介との断絶たるや。溝深すぎ。鈴木さんがパンフレットで語っていたように、あの戦国の世を背景として考えれば、天魔王や蘭兵衛の思想もたしかにある程度の納得はできる。

 

廣瀬智紀さん。無界屋蘭兵衛。罪深い……罪深すぎる廣瀬蘭兵衛……。銀髪で唇から血を流しながらの闇堕ちというスペックてんこ盛りの蘭兵衛に何を期待するかは人それぞれだけど、私は!太夫との!絡みが!とにかく!好き!なんだ!こうやって熱く主張したくなるヲタクの性。その点において、廣瀬蘭兵衛は本当に最高。極楽太夫との絡みでは、蘭兵衛お前!どういうつもりで!とひたすらに悶えた。お前!お前!(語彙力)あれ?太夫の背中に手を添えてる?と思ったらまさかの、ごくごく自然に抱き寄せるというね!!蘭兵衛お前!どういうつもりで!(二回目)下弦の蘭兵衛と極楽太夫、ものすごくキュンキュンして心臓が苦しい……。距離感近いんだよ~~~。カーテンコールでのもはやお約束と化しているエスコートも可愛すぎる。あれ、廣瀬さんアイディアなのかな。だとしたら、もう崇めるしかない。ありがとうございます!
初めて観たときの感想で、「あやつらがいたからここまで生きてこれた」じゃなく「あやつらがいたから生きてきた(生きていた?)」というセリフが重い、重いよ……と書いたけれど、今回注意して聞いてきたところ、やっぱり「あやつらがいたから生きてきた」っぽい。ああ、重い……。風髑髏の向井蘭兵衛がすでに壊れたものを騙し騙し無理に使っているようで切なかったのに比べて、廣瀬蘭兵衛は周りも本人でさえも気づかないまま壊れて空っぽになっていってた感じ。極楽太夫たちから注がれた愛情で満たされているように見えて、廣瀬蘭兵衛という入れ物にはどうしようもなく穴が開いていて愛情は溜められないというか。風髑髏といえば「ここで誰が救われた?」という蘭兵衛のセリフが深すぎる傷跡。月髑髏でも蘭兵衛が言ったらどうしようと戦々恐々だったぐらいに、このセリフは辛い、辛すぎる。
一幕の廣瀬蘭兵衛は優男の雰囲気で極楽太夫をはじめ無界の里メンバーとも親しげにしているからこそ、二幕では「外道」が分かりやすい。月髑髏、特に下弦髑髏がすごく分かりやすいというのも関係しているかも。下弦では極楽太夫が蘭兵衛の手に触れつつ、「あの人の言っていることは道理だよ」と捨之介の言葉について蘭兵衛に説くシーンまである。それに頷いたはずの蘭兵衛がそれでもやっぱり髑髏城に向かい、殿を忘れられず天魔王側に寝返ってしまう。そうして、最後に「所詮、外道だ」と太夫に言うというこの展開。太夫が「道理」と認めた捨之介の指し示した道から外れて自ら外道に堕ちた蘭兵衛。この辺りが、極楽太夫のセリフが加わったことでさらに明確に示されている。鳥髑髏の頃に小説『髑髏城の七人』を読んでから、無界の里襲撃時のゲスすぎるセリフ(女を斬っていたら勃った的な)を言ってくれる蘭兵衛をひたすら求めているのだけど、廣瀬蘭兵衛が口にしたら一幕との落差が半端なくて病み付きになりそう。

 

木村了さん。兵庫。アニキ感のある兵庫。下弦髑髏の兵庫は勇気100%で固定?私が観た回がたまたま勇気100%続きなだけか。定番のくんろネタは「ズラ……ズラ……ズートピアにズライブ(ドライブ)しようぜ、太夫!」だった。くんろネタはやっぱり難しいから、月髑髏ではずらネタに移行したのかな。この後、宮野捨之介が「ズートピアはどう拾えば……」と真顔でツッコミを入れていて笑った。やっぱりこうしてツッコミできる人がいるといいな。私はどちらかと言うと、アニキ分でありつつも荒武者隊たちに面倒を見られている兵庫が好きなので、上弦の須賀兵庫が愛おしくなる。ただ、観れば観るほど木村兵庫のアニキっぷりがかっこいいんだ本当に。下弦では正直、極楽太夫との年齢差をさほど感じさせない。多少大人っぽい兵庫だからかも。だからこそ霧丸にまで可愛い嫉妬をしてみせる木村兵庫が最後の最後でキュートの極みすぎる。

 

松岡広大さん。霧丸。一回目より周囲への敵意が強まったような印象。ますますアクションのキレがよくなっていた。上弦髑髏は主人公・捨之介を核として因業因縁が絡み合っていて、下弦髑髏は主人公・霧丸、エース・捨之介というイメージを今のところ持っている。それぐらい松岡霧丸には、未来に突き進む主人公らしさがある!初めは復讐に囚われていた少年が様々な人と出逢って考えを変えていき、恩人のために命を賭けて未来に足を踏み出すなんて少年マンガすぎる。下弦の捨之介と霧丸の距離感がこれまた可愛い。同じ轍を踏ませないように兄貴ぶっていたはずの捨之介が終盤、霧丸に守られる立場になる。天魔王を止められなかった結果一気に弱り始めた捨之介の身体を支えるところからはもう、霧丸の方が兄貴のよう。捕らえられてしゃがみ込んだままの捨之介に笑いかけた後で、「金五百枚!」と高らかに言ってのける霧丸可愛い~~~。あの笑顔に擬音つけるなら「にかっ」だ。「にかっ」が似合う松岡霧丸好き。あとやっぱり、霧丸から太夫への「太夫、色々ありがとう」の一言が最高。上弦ではない「色々」の一言にたまらなくなる。

 

羽野晶紀さん。極楽太夫。今日も今日とてアイドルみがすごいぞ、この極楽太夫。荒武者隊とのくだりで「二階席も応援してくださーい」やら「今日給料日でしょ」やら、あの若い可愛い声で言っていて本当に釣りが上手そうな太夫。本物のアイドルだったらファンサヤバそう。投げキッス乱れ撃ちさせそうな極楽太夫。日の本一と称えられて、無邪気にピースサインしてみせるの可愛すぎかな???いい男をお友達にお持ちで、と言って蘭兵衛に全身ピタッとくっつくのもキュートすぎる。いん平が来たときの太夫と蘭兵衛のやり取り、もはやただのイチャイチャ!距離感近いな!?嬉しい!!!(混乱)下弦髑髏は蘭兵衛と極楽太夫の一幕でのやり取りが本当に尊いから拝むしかない。ああ、蘭の花ももう渡しちゃってほしい……。


1月・2月も髑髏城登城予定があるので、関東荒野の月をまだまだ追いかけるぞー!修羅天魔ではもう捨之介も蘭兵衛も登場しないらしいから見尽くさないと!

 

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