僕は君が

ときめきの用例採集

劇団☆新感線『髑髏城の七人 season月 上弦の月』(12/17)

劇団☆新感線『髑髏城の七人 season月 上弦の月』の12/17ソワレ公演の感想。上弦髑髏のネタバレしかないのでご注意を。これまで書いてきた月髑髏関連の記事はこちら。月髑髏チームが出演していたvs嵐は楽しすぎていまだに見返してしまう。

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先日観てきた上弦・下弦髑髏それぞれの感想はこちら。

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二度目の上弦髑髏。下弦を観た四日後に再び上弦を観たので、あ、ここが違うんだ、と色々気づけた。ただ、予想外なほどに早乙女天魔王の演技が変わっていて、月髑髏ってもう終盤なんだっけ???と混乱。終盤に近づくほどに公演開始直後とは全く別物になるという新感線あるある。だから終盤ならまだ理解できるけれど、この前観たのが12/5でまだ二週間さえ経っていないのに早乙女天魔王は転生を遂げていた!心臓に悪い!もしや上弦では、天魔王も六段階の変化を遂げるんですか!?

S席を勝ち取れなくてまたしてもサイド席。前回とは逆方向の端だったのでまた違うキャスト陣を目の前で観ることに。よかったのは、無界屋襲撃時の天魔王の細々とした演技を拝めたこと!前回のサイド席で見えなかった贋鉄斎庵でのラストや捨之介vs天魔王の一騎打ち序盤での霧丸たちの動きなどは、今回逆方向なのでばっちり見えた。上手側に来ることの多い渡京は特に凝視することができて、裾の中の柄がすごく派手という気づきを得た。あれ、何柄なんだろう。サイド席の利点は目の前の通路をほとんどのキャスト陣が駆け抜けていく点と、カーテンコールで三方向に一礼する際に端の端なので自席の方向のときは目が合った気分を勝手に味わえる点。おめでたい頭なので、あれは完全に目が合ってた……!と同行者と盛り上がった。どう考えても合ってないんですけどね!
今回は21:55頃に終了。退場できる出口がどんどん絞られている気がするのだけど気のせいかな。出口に向かうまでの案内が不十分で、こっちから出られるはずと勘違いしたままの人が集中しすぎてドミノ倒しになりそうな一角があって冷や冷やした。関東荒野から急いで帰らなきゃいけない人もいるだろうし、終演後も大変だ。

 

演出で気になるのは、剣布への闇討ちとツイスターゲーム。暗闇の中で衣装が切られていって、ああ~~~んと悩ましげな声を上げる剣布。「やっぱり明かりは点けるな……!」の一言が出るまで全く笑い声が上がらなくて、この部分のセクハラめいたお色気要素は必要なのだろうかといたたまれない思い。月髑髏の捨之介が女性相手にこういう真似をしそうにないというのも大きい。笑いが起こらないのは私の座席の一角だけなのかな。現時点で計四回観た上弦・下弦問わず、本当に冷え切った空気だったんだけども。で、ツイスターゲームは霧丸の言葉を並べていくと「あほたれ」!アナグラム!この辺り、台詞でもフォローある方が笑いが生まれるのかな~~~と、終演後のあの文字って何か意味あるんだっけ?と言い合っていた方々を見かけてふと思った。数字には意味がないと今のところ感じているけれど(ツイスターゲームだから単純に1~5で並べただけ?)、この辺りも意図があるなら知りたい。あ、やっぱりもう一つ。前回から変更されていた贋鉄斎の「花はどこへやった!」ネタ。これってリピーターにはウケるけど、初見の方って意味が分かるのかな?花を踏んだ髑髏党を贋鉄斎がやっつけるくだりを一度は観ていないと、台詞の意味が分からない気がする。同行者が初見だったらその辺り訊けたんだけどなぁ。初見の方がまずは楽しめないと!と思ってしまうので、リピーター向けっぽい改変には若干戸惑いがある。

あともう一度ぐらい観劇できたら、鳥髑髏のときみたいに上弦・下弦それぞれの捨天蘭の関係についても書きたい。月髑髏は捨之介・霧丸についてもあれこれ書きたくなる。鳥髑髏のときの妄想はこちら。

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キャスト別感想。

福士蒼汰さん。捨之介。二度目でも目が潰れそうになるほど眩い福士捨之介。長丁場の舞台の疲労が滲み始めたのか、百人斬りの際には何度か刀を掴み損ねていて心配。百人斬りの刀パスはやっぱり難易度高いんだと改めて実感。一度落としてしまうと立て直しが難しそうだった。一度目に観たときはすごく動けていてキレもあったので今後の福士捨之介に期待!上弦・下弦で捨之介の態度が恐ろしく違うのは、対狸穴二郎衛門。福士捨之介は無界の里で狸穴二郎衛門に遭遇したとき、ん?と首を傾げて退場する程度。一方で宮野捨之介は狸穴二郎衛門への拒否反応が強い。この辺り、福士捨之介の方が本当に浮世の義理も昔の縁も捨てようとしている執着のなさを感じた。宮野捨之介は「捨之介」と名乗りながらも今なお天魔王・蘭兵衛に対して仲間意識を持っているだろう雰囲気。そんな福士捨之介が特に霧丸に思い入れを強くし始めて、結局は捨てられない義理や縁にも絡め取られて未来へ足を踏み出すって何てアツい展開!そういえば、天魔王が落ちた直後、あそこまで後悔を露わに手を伸ばしていたっけ。前に観たときより感情表現が強くなっている気がして驚いた。天魔王と対峙して鎧を剥がしているときは生き生きとさえしていたのに(「第五天、化楽天!」「第四天、兜率天!と一緒に言いたくなるあのアツさに病み付き!)、天魔王が落ちて以降急激に生への活力を失っていく捨之介に息を呑んだ。月髑髏の捨之介は本当に、天魔王を「止める」ことを目標にしていたのだなと。そうして、捨之介のその優しさ(甘さとも言える)が、結局は天魔王にとってのとどめになったのがキツイ。
捨之介の決め台詞の「天に誓った」はまだ咀嚼できていない。「天」が何を指すのか考えあぐねている。天は広くてそれぞれの上に天があると言っていたから「殿=天」という表現ではきっとないだろうし、天魔王のことを雨雲と評していたし、殿亡き後に捨之介が初めて気がついた広々とした「天」に誓った、っていうことなのかな。今のところその解釈。月髑髏の捨之介はたしかに「斜に構えた」じゃないから、鳥髑髏同様に決め台詞改変は素晴らしい!

 


早乙女太一さん。天魔王。二週間でここまで変えますか!転生遂げすぎです!鳥髑髏の蘭兵衛感想で、蘭兵衛がRPGアバターでいたら課金してでも横笛を装備させる……という誠に気持ち悪い願望を書いたけれど、早乙女天魔王がアバターだったら重課金してでもマントと扇子持たせたい~~~!マントさばきもさることながら扇子さばきも最高オブ最高。マントも扇子も人間の身体の部位として存在していたっけ???と人体構造を疑いたくなるぐらいに、早乙女天魔王のマント&扇子さばきは眼福。身体の一部のように全てをコントロールしている美しい動きに平伏す。蘭兵衛と二人揃ったカーテンコールでは扇子を操った後腕をぐるぐる回していて、早乙女天魔王が楽しそうで何よりです。
二度目の天魔王は女性っぽさが減って、生駒に甘えるのも少なめ。「蘭丸が私を助けてくれた」の言い方も一度目のような幼い響きはなくて、今後の展開を全て掌握しているような余裕が感じられた。いいこいいこは残存。12/5時点でのあのはしゃいだ言い方すごく好きだった。女性っぽさとおじゃるっぽさが消えた分、天魔王の恐ろしさが増した気がする。天魔王が霧丸をボコ殴りにしているときの剣布がどうも震えているように見えて、背に座られたときも恍惚というよりは縮こまって見えた。天魔王の属性変化に伴って畏怖の念が強まっているのか?とあれこれ妄想してしまう。それでも、「地図を書き直さなければ」のあのシーンはどえらい甘えた声で悲しげに呟いた後、生駒のお腹に顔を寄せるというね!天魔王と生駒の関係ほんと何なの……、滾るんですけど……。相変わらず蘭兵衛に斬りかかる際のペア社交ダンスも優雅!「知る者は少ない方がいい」の言い方は以前より若干切なげな響きが強く感じられて、情が見え隠れしたような、ただ単に私がそう思いたいだけのような。
生駒退場後、どんどん小物さと弱さが露呈していく天魔王。一度目に観たときは無界の里襲撃時にこそこそ柱の影に隠れていて小物っぽさがあったのだけど、二度目の今回はそういう動きがなかったので、この辺りからようやく弱さが見えてくる印象。蘭兵衛に対して「殿はお前のことだけを~」と告げ始めたときの声が非常に優しげで、これは蘭兵衛への嗜虐心ゆえだと一旦は思ったけれど、殿の思い出話だから無意識に声がやわらいだ可能性もある?そう思えるほどに、冒頭、鎧ダンサーズの動きを無視して鎧に手を伸ばした天魔王が、殿だけを一心に乞うているように見えた。冒頭から本当に胸を掻き毟りそうになった。殿に焦がれているそんな天魔王が蘭兵衛を斬り捨てた後、混乱しているように頭を激しく掻き毟るわ、自分を庇った蘭兵衛の腕を「蘭丸!」と呼んで思わず腕を支えるわ、一気に早乙女天魔王の感情が溢れ出して行くのを目撃した気分。12/17時点の天魔王は、殿の鎧という強化装備によって張り詰めていた糸が、生駒・蘭兵衛の行動によって一気に緩まったけれど、捨之介の優しさ(甘さ)により再び張り直された感じ。捨之介と天魔王はつくづく合わない。鎧を剥がされて地上まで落とされたはずの人の男だけど、最後にあの行動を取ったときは再び天魔王になっていたんじゃないかな。ああ、人の男のプライドに思いを馳せてしまう。


三浦翔平さん。無界屋蘭兵衛。相も変わらずお顔が美しい三浦蘭兵衛。オラついた感じが少し薄まった気もしつつ、やっぱりあの着物がオラつきを強く見せているんだよなーと実感。兵庫への平手打ちが優しくなっていたし、マイルド蘭兵衛。それでいて、無界の里の女たちを庇うときに目の前でひと睨みするだけで威嚇になっているから、そこはかとなく昔はヤンチャしてました感が出ている。第二幕以降の外道に振り切れた三浦蘭兵衛がすごく好きなのだけど、今回は動きにさらにキレが出ていて殺陣のスピード感すごーい。唐突なけもフレ。すごーい!たのしー!IQが溶けてく。振り切れっぷりのネジの外れ方が最高で、ああ本当に道を外したんだ……と思い知らされる夢見酒後のあの哄笑。「無界屋蘭兵衛」という器への未練も執着も全く感じさせない笑い。再び蘭丸として生まれ変わった蘭兵衛は、捨之介への態度が非常に冷たくなっていた。前回ここまで敵意剥き出しだったっけ。「お前には分からぬよ」ではなく「貴様には分からぬよ」だったし、その言い方には一片の後悔も感じられなかった。全てを捨てていく三浦蘭兵衛。そんな中で「殿は一人先に逝ってしまわれた」の台詞だけ声が弱々しくなるなんてずるい。ずるいよ!
月髑髏では捨之介と蘭兵衛・天魔王との断絶が凄まじい。上弦は特に福士捨之介がキラキラしていて汚れ仕事をしていなさそうなので、蘭丸時代に人斬りとして活躍していたっぽい蘭兵衛とも結局は相容れないんだろうなと。天魔王を「殺す」のではなく「止める」を選択した捨之介には若さが溢れていて観客側としてはすごく楽しめるのだけど、戦国の世を生きた蘭兵衛・天魔王には受け入れがたい選択すぎる。天魔王を庇って以降の三浦蘭兵衛もまたよくって、「光秀や貴様と同じになる」と言ってからほんの少し笑った……。ここで笑うって……。三浦蘭兵衛で特に好きな動きがあって、二幕終盤で負傷してからの身体のがたつきっぷり!事切れる寸前の人間が無理に身体を動かしている感がリアルにあって、そうまでして天魔王を庇うか……!とかなり惹き込まれた。


須賀健太さん。兵庫。須賀兵庫のボクシングのステップみたいな軽やかな動きが好き。霧丸を無界の里に連れて行くのを一瞬渋るような、ちょっと子供っぽい意地が須賀兵庫にはよく合っていた。須賀兵庫マジで若い。捨之介が髑髏党を退けたときに思わず拍手していたけれど、あ、ヤベみたいな表情をして拍手を止めていたのが、すごく意地っ張りっぽい。木村兵庫は多分そういう表情はしないで手を止めていた気がする。木村兵庫はほどよく青年な感じ。この日の荒武者たちの退場ソングはRADWIMPS「いいんですか?」。新感線の客層ってかなり幅広いけど大丈夫!?「前前前世」ぐらいの方が皆に通じたんじゃない!?と勝手に心配した。ハイステでも歌ってそうなので、須賀兵庫っぽい選曲とも言える。兵庫がはけるときの定番の語尾ネタは「ぺ」で、「ぺぺぺのぺー」で去っていった。一度目観たとき、最後に極楽太夫に声をかけるときの「俺は」の声がひっくり返ったのがすごく好きだったのだけど、今回普通のトーンだった。声が裏返ったあの感じ、偶然の産物だったのか!カーテンコールではやっぱり極楽太夫の衣装の裾を持って歩いていて、いい仲というより姉御と弟分っぽいキュートさ。三回目のカーテンコールでは出てくるのが遅い(通常運転の)天魔王に指差しして、天魔王が兵庫に向かって大きくマントを翻してすたこら去っていくやり取りが可愛すぎた。須賀兵庫って小柄だから、早乙女天魔王が翻したマントですっぽり覆われそう。須賀兵庫のチャーミングさによって上弦髑髏のカーテンコールの賑わいが増していると思う。


平間壮一さん。霧丸。平間霧丸はやっぱり思い詰めている感が強くて、熊木衆の悲劇を背負い込んでいるっぽい陰があった。沙霧より霧丸の方が闇が濃い。兵庫たち荒武者隊を切り捨てるときも、役立たないものに構っていられないという切迫感がある。それでも朗らかで年若く見えるシーンはあって、無界の里について色里と教えられたときのにやけた反応なんて、平間霧丸そういう表情もするの!?と驚いた。初対面の狸穴二郎衛門に対しても「俺、霧丸!」と結構気さくに挨拶しているし、元々は人懐っこい子なのかな、と熊木衆壊滅前の本来の霧丸について色々考えてしまう。終盤、兵庫と極楽太夫の行く末をものすごく真摯な表情で見守っているのがじーんと来た。下弦の松岡霧丸がハラハラして見守っていそうな様子に対して、平間霧丸は二人が別離を選んでも涙を呑んで受け入れそうな大人っぽさがある。


高田聖子さん。極楽太夫。無界の里番頭'sって前からwithBの動作してたんだっけ!?一度目の観劇のときは全く気づいていなかったから、withBしてる~~~!とすごく盛り上がった。こういう小ネタ気づけると嬉しくなる。月髑髏の極楽太夫は本当に大人の女性で、だからこそ無界の里が燃え始めてとうとう膝をついてしまった太夫を目の当たりにして涙が滲んだ。ただ、崩れ落ちても誰かの手なんて借りない極楽太夫。自ら太腿を何度も叩いて頬にも平手打ちして、自分の力で再び立ち上がる。ここのかっこいいこと!高田太夫、ついていきます!そうして、子分の死に錯乱している兵庫にも平手打ちをして我に返らせてあげる。そんな高田太夫が狸穴二郎衛門には平手打ちしないのが、ある意味一番痛烈なやり方なのかもしれない。上弦では狸穴二郎衛門の前で手を広げないんだよなー。この辺りの演出の差異の意図が気になりすぎる。その辺りの裏話もどこかで明かしてほしい。


関東荒野に上がった月、上弦・下弦ともに惹かれるところがあって夢中!1月にまた観に行く予定なので感想を書き散らかしたい。