僕は君が

ときめきの用例採集

浪漫活劇譚『艶漢』第二夜

浪漫活劇譚『艶漢』第二夜の12/14公演ネタバレ感想。

2016年の初演&歌謡倶楽部を観に行けなくて残念だったので、今回の第二夜チケットには即申し込んだ。ほさかようさんの舞台は観たいし、原作『艶漢』はずっと読んでいて大好きだし、梅棒での推し・野田裕貴さんが若林役として出演されるし、浪漫活劇譚『艶漢』第二夜はどうしても観たい舞台だった。雑誌最速先行でまさかの落選で、チケット倍率危険な感じ……?と焦ったけれどその後の先行で無事にゲット。ちなみに、プレミアムシートは落選。プレミアムシートって最前や通路脇の席だったのかな。

場所は俳優座劇場。お手洗い個室数が少ないため、開演前・休憩時間(10分)ともに行列が凄まじいことになっていた模様。グッズ販売列、特典引き換え列、お手洗い列と行列多め。グッズはパンフレット購入。尚月地先生の美麗イラストが表紙!その他グッズではブロマイドが充実しているな~~~と驚いた。キャスト1名につき2セット(3枚ずつ)あって、Bセットの破壊力が凄まじい……。目隠し!ハイヒール男子!原作『艶漢』の口絵にありそうなポージングすぎる!公式twitterでの紹介はこちら。ハイヒール男子、よきかな。

開演5分前から前説あり。舞台上ではスモークが焚かれていて、建物の間に看板や赤い提灯が複数吊り下げられていて、幻灯町らしく異国情緒めいた雰囲気。障子がものすごく効果的に使われていて、黒子さんが裏から障子を支えて開閉することで家に入ってくるシーンを再現したかと思えば、舞台中央に障子が置かれて場面転換の役割も果たす。その際に障子に「艶」という文字がライトで浮かび上がって、『艶漢』の世界観に沿ったオシャレ演出に拍手したくなった。湯上先生の部屋にある掛け軸に書かれた文言が「偽らず善行を尽くすべし」で、それを切ったら「偽善」の二文字だけが残るのも好き。皮肉効きまくりの演出。色とりどりの傘を使った殺陣や、血飛沫を紙吹雪に見立てる演出なども美しい。
客席間の通路を使って舞台に向かうことも多く、詩郎・光路郎・安里が特によく通っていた。通路に近い席だったので、キラキラしてるアイメイクやチラ見えする腹筋をついつい拝んでしまった。たしか最初に客席に話しかけたのは若林だったはず。その後、安里によるぶっ飛んだ安里らしすぎるファンサービスもあった。その凄まじさについては後述。

 

ノーフン(フンドシをはいていないってこと!)がちで柳腰の美少年で傘職人の吉原詩郎(女ったらしの助平)と、
熱血正義感の巡査殿・山田光路郎(筋肉質で無類の猫好き)、
そして詩郎の兄貴分で無敵な色気を放つ吉原安里の物語を軸にした、
エログロナンセンスな昭和郷愁的アンダーグラウンド事件簿。 

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ストーリーとしては原作のいくつかのエピソードを織り交ぜつつ、詩郎を巡る"組"絡みのお話が進行。初演を観ていないから知らなかったけれど、"組"関連のストーリーもするのか!エピソードとしては、原作1巻「合わせ鏡」(蓮見子・菖蒲子姉妹の話)、2巻「心の花」(湯上先生の「偽善」にまつわる話)にオリジナル要素を含んだ事件簿パートを繰り広げた後、7巻で描かれた北部貴族の追っ手である春澄たちとの対決。「偽善」がメインテーマである湯上先生のエピソードは原作で大好きだから、今回の舞台で使われていて嬉しい。初演での出来事も恐らくセリフに含まれていて、初演ではあのエピソードをしたのかな?と少し推察できる。ただ、原作未読かつ初演未見の場合、細々としたやり取りについてこれるのかな、と感じる箇所は少なからずあった。シルエットだけの登場とはいえ早乙女さんとか分からないのでは?まあ、原作未読かつ初演未見の観客なんてそうそういないという判断なのかも。
オープニングレビューからして艶やかでつややかで、何これ絶対期待を裏切らない!と確信できた。特に安里が最初からフルスロットルでM字開脚するわ、黒子に自分の素肌を触らせるわ、ヤバイ……安里すぎる安里……と原作読者なら誰もが唸るはず。全てに色気がありまくりで、ワンピース歌舞伎みたいに舞台本編のブロマイドも売るべき!と猛烈にお願いしたい。そして、このオープニングレビューの構成と振付を担当されたのは我が推し・野田さん!最高!

キャラクターによっては衣裳の布地がすこーしだけ安っぽく見えてしまったけれど(照明の反射の問題?)、原作のデザインに沿った衣装ばかりなので、キャスト陣のスタイルがさらに麗しく見えるという神の相乗効果あり!くるぶしのチラ見え滾る~~~ウエスト細い~~~おみ足長い~~~などと盛り上がれた。パンフレットには舞台・衣装設定資料が二ページあり。春澄のウエストを絞った衣装が本当によい。

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キャスト別感想。
櫻井圭登さん。吉原詩郎。まさに柳腰男子!筋肉が薄い!内腿までガッツリ剥き出しで、『髑髏城の七人』を近頃連続で観に行っているのもあって、男性の内腿ばっかり拝ませてもらってる12月です。最高。赤いアイシャドウが儚げなお顔にすごく似合っていて、近くを通られるときに凝視してしまった。友人である光路郎に対して拒絶めいた態度をしてしまったときの切なげな表情といったら……!ひらりと舞うような重力を感じさせない殺陣もお見事で、筋肉がつかなくて体が薄いと原作で評されている詩郎らしさに溢れている。終盤、あの!あの戦闘服!を着用しての殺陣があって、三次元での戦闘服の再現だけでも恐れ入るのに櫻井さんがそれを素敵に着こなしていて、何かもうとにかくすごいな!!!と語彙力を失うほどに圧倒された。元々ボキャ貧なのに!あのときだけは目も虚ろで人形のようだった、詩郎は。吉原兄弟二人での名乗りはどえらいかっこよさだったけど、詩郎の名乗りを正確には聞き取れなくて惜しいことをした。色香に惑わされた首を落とさん云々だった気がする。カーテンコールのお辞儀の仕方も詩郎らしすぎる振る舞いで、原作へのリスペクトに溢れていて感動。

末原拓馬さん。山田光路郎。生真面目で天真爛漫な熱血漢のようでいて清濁併せ呑む器の大きさもある光路郎。第二夜では"組"絡みのストーリーが進行していくため、詩郎が光路郎に過去を打ち明けられずあからさまに距離を置くシーンが何度かある。確実に傷ついているのに詩郎の気持ちに寄り添う行動を取ろうと言葉少なに努力する光路郎の姿を目にする度に、胸が痛くなりつつ、あー光路郎ならこういう声のトーンかつ視線の彷徨わせ方だろうなぁと納得度が高かった。カーテンコールのときの、足にぴったり両手を添えての直立不動姿がまさに光路郎。

村田恒さん。佐倉春澄。お顔がよい。貴族然とした春澄の服装を何の違和感もなく着こなせていて素晴らしすぎる。鞭を振るう手のしなりがいい。キラキラ眩しい好青年から、最後の最後で明人に本音を暴露する冷酷な姿のギャップが凄まじくて、これぞ春澄……!と心の中で思い切り拍手した。何より胸を締めつけられたのは、明人に全てを告げて一人きりになった後に呟く「大嫌いな君だけだ」のセリフ。原作よりも哀しげな響きが強くて、俯き気味の表情も切なげで、ああああ春澄しんどい……とこの舞台によってさらに佐倉春澄というキャラクターを好きになった。北座長である東雲への執着を吐露する春澄をもっともっと観たいので早くも第三夜を待機したくなる。

三上俊さん。吉原安里。問答無用でおひねりを渡したくなる安里(褒めてる)。初めて観た瞬間、細い!でも筋肉ついてる!まさに安里!?と驚く一方で、ここは本当に三次元か???と混乱した。露出狂気味の安里は布面積も少なければ纏う布自体も少ないので体の誤魔化しがきかないと思うのだけど、想像以上に作り込まれた体で、三上俊さんのプロ根性に平伏した。こりゃすげえや。仕草も逐一安里で、老若男女問わず惑わせるエロさがダダ漏れで最高。殺陣もスピードがあって、春澄相手に顔面騎乗や首舐め、明人には足でイかせた後の「ウケる」の罵り、北座の女には亀甲縛りなどてんこ盛り。吉原兄弟二人での名乗りはもう吉原兄弟オンステージで、安里の「狂い咲きたる紅牡丹」はもちろんのこと、「死の旅路へと誘わん」のフレーズが特によい。
第二幕が始まって早々に「よー、お前ら」と気軽に通路を歩いてくる安里。犯罪者リスト探してるんだけど知らない?知ってるやついる?と問い掛けたら、かなりの人が挙手!挙手!通路脇の女性が一人選ばれて、ここに入ってるから、と安里の胸元に誘導されて手を差し込んでいった。そうしたら安里が色っぽく喘ぎ始めて、ああん優しく攻めてくる~~~と悶える有様。何だこれ、安里すぎる。原作読者なら誰もが納得できるこのプレイ。その後、舞台上で呆れて眺めていた六口に呼ばれて一旦は舞台上に戻ったはずが、ストリップはよそでやってきてと言われた瞬間、またすぐさま通路の定位置に戻って思い切りよく脱ぎ始めたのがとにもかくにも最高だった。舞台に戻るときも、脱ぎ足りない~~~と駄々をこねていて、すごい……ともはや圧倒された。観客全員が南部のモブ女子になるという一体感。おまけに、六口相手には「六口、好きだよ」という穏やかな言葉の後にちゅー。原作読んでる身としては今後の展開に期待せざるを得ない。

野田裕貴さん。若林剣一。オープニングレビューでのキレのよい動きを目撃した瞬間、2ヶ月ぶりの野田さんだ~~~!と昂ぶった。ポージングが逐一綺麗。第二夜で舞台初登場ながらも若林妄想劇場最高!「独壇場」の意味を視覚的に理解させられてる……と感じるほどに若林の掌の上だった。『艶漢』ってヘヴィーな事件が多めだから絶対的に変態である若林の存在は貴重。

若林妄想劇場①
光路郎を訪ねに来た詩郎を見たときから脳内で50回は犯しているという若林の悪びれない発言から妄想劇場スタート。全裸(に見える)姿の詩郎が登場して、その股間には「金」のお盆。アキラ100%ならぬシロウ100%。しかも高速でお盆をひっくり返す芸当(「金」→「妄」へ文字も変わる)まで完璧で笑い転げた。この後ベルが登場して、ベルのチン!の音を利用してのチ●コ発言連発は斬新すぎる。セルフでのピー音。馬鹿馬鹿しいやり取り、とツッコミを入れる光路郎の元に来た黒子がようやくベルを回収してくれて、そのときに光路郎の肩を叩いて慰めてあげていたのがツボ。下ネタの後の清涼剤。でも、ここで終わらないのがさすがは若林で、「また今夜ね」と詩郎に声を掛けた後、「あ、今夜の妄想の話」と余計すぎる一言を言う。今夜は趣向を変えてみようかな、と若林が言った途端、詩郎のお面を被った黒子がセーラー服とチャイナ服で登場。若林、歪みない。妄想の具現化楽しすぎる!

若林妄想劇場②
王冠を被って背中に「妄」の字が書かれたマントを羽織った若林の号令により妄想劇場第二弾スタート。詩郎が伏せっているため、第二弾の被害者は光路郎と春澄。まずは光路郎が春澄の膝に頭を乗せる膝枕。続いて、光路郎がその体勢のまま春澄の胸を揉みしだく。最後に二人の鼻頭すりすり。こうして文字にするだけでも破壊力がとてつもないな……!光路郎を演じる末原さんが「春澄さんすみません、すみません」と終始謝りながら若林の命令に従っている一方で、春澄役の村田さんが結構ノリノリで最後までされていてその対比が面白すぎた。光路郎も最終的に「春澄さんノリノリじゃないですか!」とツッコミを入れる始末。「僕が止めるっていうまで終わらないからね」と若林が高らかに宣言していた通り、結構長時間、イケメンのお二人が鼻頭をすりすりしている様を目撃することになった。

終演後には出口で尚月地先生描き下ろしのビラを貰えてラッキー!2日目と書いてあったので日にちによってそれぞれ違うイラスト書き下ろしらしい。2日目は何と、詩郎と若林のイラスト!大事に仕舞っておこう。
浪漫活劇譚『艶漢』第二夜では、どの事件でも真実が露見した後の様はまるで豹変のように思えるけれど、清濁あるのが人間で、誰も彼もお綺麗ではない。人間の汚さに絶望するのではなく、濁りを知ってもなお一縷の希望を持てそうな結末がすごく心に響いた。原作の持ち味であるエログロ要素もふんだんに散りばめられていて(グロは少なめ)、原作そっくりそのままに舞台化したわけではないけれど、これぞ艶漢!というエッセンスが濃縮されている感じで面白かった。大満足。第三夜もお願いします!