僕は君が

ときめきの用例採集

『スーパー歌舞伎II ワンピース』

スーパー歌舞伎II ワンピース』11/20夜の部のネタバレあり感想。「最高」「すごい」しか言えなくなる圧倒的エンターテイメント。ここまで心の底から楽しませてもらえる演目って貴重。無意識に笑顔になれるし、自然と歓声が漏れるし、鳥肌立ちまくり!今後、周囲に落ち込んでいる人がいたらワンピース歌舞伎に連れてってあげたいから一年中やっててほしいと無茶なことまで願ってしまう始末。2018年4月には大阪、5月には名古屋での再演が決定しているそうで。地方公演の日にちをチェックしてしまうって遠征フラグかな???
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スーパー歌舞伎II ワンピース』、通称ワンピース歌舞伎。並び立つ黒子によって腕が伸びることを表現したゴムゴムのバズーカの写真をジャンプ誌面で初めて見たときは、こういう風に表現するのか!とある種の潔さに衝撃を受けた。同時に、ワンピース独特のあの「どん!」などは歌舞伎の見得みたいなものだから相性がいいのかも、ともちょっぴり思った。まあ初演はそのまま観に行けなかったんだけども。すこぶる評判がよさそうだったので次があればぜひ行きたいと思っていたところに今回の再演。待ってました~~~!市川猿之助丈が骨折されたというニュースを聞いて、ワンピース歌舞伎=猿之助丈のイメージだったので今後どうなるのだろうと心配した。それでも、猿之助丈の役を引き継いだ尾上右近丈は素晴らしかった。何と言っても少年らしさの詰まったルフィ。初演を知らない私は違和感なく、最高のエンターテイメントに酔い痴れることができた。

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場所は新橋演舞場。花道がある舞台ってやっぱりアガる!拍子木の音の高揚感よ!今回はぴあで購入したお弁当つきのSS席。花道横。桟敷席のありがたみをまだ理解できていないので、桟敷>SS席というお値段設定だったけど、新橋演舞場で奮発するならSS席一択。花道での見得を遮るものなしに拝めるのが桟敷席の良いところなのかな。桟敷席を経験したことはあるけど、舞台が少し観づらいというのが自分にとってはどうしてもマイナスポイント。お茶をのんびり飲めたり食事を棚に置いてもらったりできるのは非日常感たっぷりなんだけども。ちなみに、頼んだお弁当はこちら。

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第一~三幕まであって上演時間は16:30~20:45。長丁場!とこのタイムスケジュールでは一瞬感じるけれど、歌舞伎は幕間で長い休憩時間があってお弁当も食べられるのであまり負担はない。幕間ではゾロとサンジのショートコント的映像が流れていて、SNSに写真アップしてね~~~と説明される。ハッシュタグの説明をするのがサンジというのが分かりみ深い。ゾロはひたすら、何だよそれって一切理解してなくてこちらも、そうですよねぇと納得しかない。
歌舞伎や文楽のときに重宝するイヤホンガイド。でも今回は歌舞伎ではなく、ワンピースのガイドをするそうな。たしかにいきなりシャボンディ諸島から始まるので、ワンピースにあまり詳しくない人にとっては必需品。私はずっと読んできて把握しているのでイヤホンガイドはレンタルせず。歌舞伎、ワンピースそれぞれに特化した二種類のイヤホンガイドを置いてもらえると嬉しいかも。その方がさらに新規開拓できるのでは、と年に数回程度しか歌舞伎を観ない初心者としては思う。宙乗りや本水のガイドとかあると、他の歌舞伎ではどんな感じなのかなと歌舞伎そのものへの興味を持つ人も増えそう。

そして、これに触れないわけにはいかない、ブロマイド販売。壁に張り出されたブロマイドにはそれぞれ番号が振られていて、申込書に欲しいブロマイドの番号を書いて2F受付に提出というシステム。な、懐かしい~~~。アナログ感溢れる販売方法~~~!修学旅行の写真販売を思い出した。今の中高生はもっとハイテクな方法で写真買ってるのかな。どのジャンルでもグッズにはほぼほぼ興味がないはずなのに今回はまあ買い漁りましたよね。1枚500円のはずなのにお札が飛んでく、飛んでく。ワンピースでは長年ゾロを推してるけれど、サンジがべらぼうにかっこよくてですね。衣装もどえらいかっこいいものを羽織っていてですね。叶うことならここにそのブロマイドを貼り付けてプレゼンしたいぐらいに、プリンス最高~~~と平伏したくなる素晴らしきサンジ。左側が黒のファーコートっぽくて、右側が雲の柄の着物。字面だけで伝われ、この凄まじきかっこよさ。これは財布の紐が緩む。で、エースやマルコもシャンクスも恐ろしく凄みのあるかっこよさでして。またもや財布の紐が緩む。おまけに、サディちゃん(鞭を持っていてエロいタイトな格好をしたドSな女性看守)がはちゃめちゃにキュートで、こんな網タイツのおみ足を収めた写真は買わないと!と再々財布の紐が緩む。散財。いや、素晴らしい写真に等価交換しただけだからセーフ。むしろよくやった自分。一枚一枚、係のおじさまが、○番はこちらですね、と確認してくれる親切仕様だけど、背後に並んでいる人にもどれを買っているか丸見えなので、5枚目を越えた辺りから恥ずかしくなってきた。何だこの羞恥プレイ。


幕ごとの感想。一幕大体一時間~一時間半ほど。
第一幕
主な舞台はシャボンディ諸島とアマゾン・リリー。ワンピース読者としては、シャボンディ諸島からスタートしてエース処刑まで終わらせられるの?と一瞬心配になったけど、上手く凝縮されているんだこれが。天竜人に歯向かったことで各地にバラバラに飛ばされた麦わら一味。その前に麦わら一味の名乗りがあってここが粋の極み。歌舞伎とワンピースの融合とはこういうものだ!と見せつける勢いでのおのおのの名乗り。歌舞伎でも新感線(五右衛門ロックなど)でも名乗りがあるものが特に好きなので、この時点でもう楽しい~~~!とニヤニヤした。「白波五人男」っぽい!そうして一人だけ、女帝ボア・ハンコックが治める男子禁制の島、アマゾン・リリーへと飛ばされたルフィ。ここの目玉は何といっても早替え!ルフィとハンコックをまるで自由自在に行き交っているような早替えには歌舞伎の伝統を感じる。え、もう替わってる!?と驚くことが多々。まだこの時点では正直、予想以上に行儀正しいというか品のある右近丈のルフィには戸惑っていたのだけど、この一幕で徐々に慣れていった感じ。カリスマ性よりも、少年らしい無鉄砲さを全面に押し出しているルフィで、周囲の人間が彼のために動いてあげようとするのが納得できる雰囲気。一方でハンコックといえばメロメロの実の能力者で絶世の美女。尾上右近丈のハンコックは美しい。見下しすぎて見上げているあのお馴染みポーズも披露していて、これこれ!これが観たかった!とテンションも問答無用で上がる。第一幕ラストにはそのハンコックが小林幸子のようにド派手な衣装と演出。舞台を埋め尽くす衣装に次ぐ衣装!どんどん高みに上がっていくハンコック!終わったときには、第一幕でこのスケールって二幕以降は何が待ち構えてるの……とドキドキした。


第二幕
舞台はひたすらに監獄島・インペルダウン。海軍によって収監されている兄・エースを救出するため、インペルダウンに侵入するルフィ。監獄の中で旧友のボン・クレーと再会して、看守たちとの戦いを繰り広げる。第二幕は涙と笑いで幸せすぎる忙しさだった。毒ガスで瀕死のルフィが苦しんでいるところへ、花道から登場したのはチョッパー。これまで人形だったのは前振りだったのか!市川右近くんの可愛らしさに、新橋演舞場の全員が保護者気分になったはず。微笑ましすぎて泣けてくるという体験をした。そうして、ボンちゃんが登場するところは終始涙。ボンちゃんのくだりって基本的に笑いが起こるけれど、自分はどうしても涙腺が緩んでしまう。ボンちゃん最高~~~!友情に篤いボンちゃんのオカマ道に刮目せよ!!!坂東巳之助丈のボンちゃんは息を呑むほどに再現度が高くて愛に溢れていた。他にゾロとスクアードもされていてこれまたかっこいいけれど、私の中ではボンちゃんが最高オブ最高。ボンちゃんのときの声がゾロやソクアードのときとは全く違っていてそこからもう魅入られる。「麦ちゃん、あんたならできるわ」なんて泣く。泣くしかない。第二幕全てがボンちゃんの見せ場だと主張したいけれど、やっぱり革命戦士・イナズマとともに看守たちに挑む死闘が圧倒的。約10トンもの本水が舞台上に溢れる大滝での立廻りは、もちろん水飛沫を上げながらの闘い!スライディングしたり舞台上の水を蹴り上げたり何でもアリで、前方の席にはかなり水飛沫が飛んで歓声も上がっていた。ちなみに、イナズマを演じた中村隼人丈はサンジ、イナズマ、マルコを担当されていて、これはあかん……。レディーたちの運命狂わせるやつ……。イケメン枠、隼人丈。友のために繰り広げるボンちゃんの死闘に涙してたら、凄まじい気迫で花道をオカマ六方で駆け抜けていく引っ込み!花道そばの席で本当によかった。ちなみに、松竹公式がアップしている初演時のシネマ歌舞伎の予告編はこちら。37~38秒に一瞬、ボンちゃんとイナズマの本水での立廻りが映ってる。

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六方~~~ボンちゃん最高~~~と心がぐるんぐるん暴れまわっているところに、海軍本部へ向かうルフィがサーフボードで宙乗り!息もつかせぬ展開すぎて、あの瞬間ワンピース歌舞伎に心臓を握られてた。胸が苦しい。主題歌「TETOTE」の流れる中で宙乗りを披露するこの時間のことを“ファーファータイム”と言うらしい。大きなクジラも宙を練り歩いてるよ!浅野和之さん演じるイワンコフたちニューカマーランド同志もみんな登場するよ!観客も立ってタンバリンや手拍子で声援を送るこの“ファーファータイム”の多幸感たるや。タンバリンは第一幕幕間でも宣伝していて、まだ200個しか売れてないなんてこともバラされていた。200個って結構すごくない?と思ったけどそうでもないのか。一階席は半数以上がタンバリンを持っていたかな。花道そばだったから浅野イワンコフさんやニューカマー面々とハイタッチできて楽しかった~~~!ニューカマーの皆さん、花道から3~4席ぐらい離れててもハイタッチするために身を乗り出してくれていた。このお祭り騒ぎが楽しすぎて涙があっという間に乾いた。そして、テンション最高潮のまま休憩に突入。かつてないほど熱気に溢れた幕間を体験した。


第三幕
舞台は海軍本部マリンフォード広場から星が浜へ。とうとう、海軍本部のマリンフォード広場を舞台とした海賊と海軍の“頂上戦争”。元帥センゴク赤犬サカズキたち海軍三大将をはじめとした海軍、エースを救いに来た白ひげ海賊団、そしてエースとルフィ。頂上戦争編はワンピースでも屈指の人気エピソードで、盛り上がりをきっかけにワンピースを再び読み始める人がものすごく多かった印象。本誌を朝イチで買いに行く人に溢れていたあの頃。その後のワンピース展でも頂上戦争編は大きく取り上げられていて、エースの最期まで描いた原作のコマが映し出される部屋ではすすり泣きが響いていた。そんな頂上戦争編を描いた第三幕では能力を使った闘いが多く、プロジェクションマッピングなどを駆使するだけでなく歌舞伎本来の伝統も受け継がれていて沸いた。白ひげ海賊団のマルコが不死鳥の姿で客席三階から舞台へ宙乗りしたり、紙吹雪が乱れ舞う中での青雉の氷河時代フライングがあったり!幻想のように綺麗な紙吹雪に目を奪われた直後にスピード感溢れるフライングを目の当たりにして、ええ!?と声が出そうになった。予想外すぎてビビった。何あの美しいフライング!さすが海軍大将は一味違う。上記動画では30~32秒のところでこのフライングが拝める。
市川右團次丈演じる白ひげは恐るべき貫禄。長刀を構える姿だけでも、大海賊時代を象徴する男という説得力がある。あらゆるイメージを古典歌舞伎から引っ張って表現している、と筋書きでも触れられていた通り、ワンピース歌舞伎の中で最も歌舞伎らしい衣装や演出だった。白ひげ海賊団はワンピースの世界観の中でも一際任侠の雰囲気が色濃くてそれがまた歌舞伎と合っている。平岳大さん演じるエースは悪魔の子として呼ばれてきた苦悩によって影があり、それがまた色気にも通じていてかっこよかった。傷だらけの姿にもほどよくついた筋肉にも見惚れる。ルフィと二人並んでの兄弟見得は拍手しかない。エース救出のためだけにこれまで頑張ってきたルフィが報われた瞬間であり、自らの生をずっと悩んできたエースが真の意味で救出された瞬間でもあるように見えた。ずっと囚われの身だったから第三幕でようやくメラメラの実能力者としての闘いを見せてもらえてカタルシス赤犬と対峙した際に、赤の旗を掲げて炎を表現する演出には心が踊った。かっこいいいいいい。そして、そして、「この時代の名が白ひげだ!」これは泣きますわ~~~。泣いた。すすり泣いた。一番泣かせるポイントはその後のエースのくだりだろうけど、原作でのこのエースのセリフがものすごく心に刺さっていたから、ワンピース歌舞伎にも使われているのが嬉しすぎてそっちの意味でも泣けてきた。「この時代の名が白ひげだ!」って何て尊いセリフなんだろう。
その後、エースを喪ったルフィの星が浜での慟哭。ここでの早替えは全く分からなかった。え、いつの間に替わったんだ!?最後にもう一度麦わらの一味が登場してくれてよかった。これぞワンピースだ!ワンピース歌舞伎よ、永遠なれ!

自分でも驚くほどにワンピース歌舞伎に魅了されて、千秋楽間近の11/20に観に行ったことをひたすら後悔した。あと二回は観たかった。まだ大阪や名古屋で来年観ることができるので遠征するか考えたい。シネマ歌舞伎にも早くなっていただきたい。圧倒的エンターテイメントで多幸感たっぷりのワンピース歌舞伎、最高!!!