僕は君が

ときめきの用例採集

『レディ・ベス』(11/13)

『レディ・ベス』11/13ソワレ公演のネタバレあり感想。

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『レディ・ベス』を別キャストでもう一度観てきた。今回のキャストはこちら。前回観た10/25ソワレ公演とは全て違うキャスト陣。贅沢なWキャスト!

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舞台美術や衣装、楽曲などについてもあれこれ触れている10/25感想はこちら。

seshiki.hatenablog.com

舞台全体の感想。一回目の感想と同じく深く突き刺さるものは少なめだけど、明らかな山場を求めなければ許容範囲なのかも。どういう山場があればもっと盛り上がったのかなぁ。エリザベス自身はどうなりたいのか、どうしたいのかが知りたかったし、多少は自らの手で運命を切り拓く姿が見たかった。運命の濁流に翻弄されているエリザベス、って視点で見ればよかったのかな。そういえば、前回気にかかっていた"レディ・エリザベス(ベス)"呼びになった経緯についてはやっぱり触れられていなかった、と思う。ベス呼びの経緯を明確に説明すればエリザベスの置かれた立場もより分かりやすいのにどうして触れないのか不思議。ロジャー先生の歌で触れていたのかな、私が聞き取れなかっただけで。『レディ・ベス』のwikiには下記の通り明記している。

題名のレディ・ベスについて、母親であるアン・ブーリンが不義の疑いで処刑されたため、当時3歳に満たなかった娘のエリザベスも一時庶子にまで身を落とし王女としての地位を失う。それに伴い、呼び名に困った侍女が彼女をプリンセス・エリザベスから、レディ・エリザベス(ベス)と呼ぶようになったことから。

今回は二度目の観劇でストーリーも歌詞も把握しているからか、メアリー一派&スペイン組以外の楽曲も実は好きかも、と新たな発見。「邪悪」「悪魔と踊らないで」「クール・ヘッド」「ベスを消せ」はやっぱり別格だけど、エリザベスやロジャー先生の楽曲も聞き慣れるとなかなか好み。ロビンの序盤でのひょうきんな歌詞も、育三郎さんのおどけた表情とあの歌声なら入り込みやすい印象。加藤和樹さんにお調子者の役柄が合わないというわけじゃなく、ひとえに私が、加藤さんに対して憂いたっぷりのイメージを何故か抱いているからだと思う。跡部様なのに何故だ。エリザベスと離ればなれになってからは、加藤和樹さんのあの悩ましげな歌いっぷりが好き。舞台美術と衣装は二度目の観劇でも見惚れるぐらいにやっぱり美しい!エリザベス即位時のあのドレスの荘厳さは最高!

 
キャスト別感想。
平野綾さん。レディ・ベス。とにもかくにも可愛くて歌声も恐るべし。平野綾さんのベスは、女王の器になるべく成長していく等身大の女性といった印象。お転婆ながらもそこはかとなく気品も漂っていて、ロビンとの恋路がより映えている。エリザベス女王のひとときの青春というのが納得できる。生まれながらの女王感に溢れていた花總ベスとはまた違ったエリザベスでよかった。これぞWキャストの醍醐味。
花總ベスと加藤ロビンでは、初対面時のツンツンした感じから徐々にお互い惹かれていくところがまさにラブコメ!と思ったけれど(花總ベスのロビンへの噛み付きっぷりがよい)、平野ベスと育三ロビンはお互いに最初から好印象でした感がある。ラストでも、平野ベスと育三ロビンはそこまで重苦しく思いつめていないというか、別離を選んでもどこか清々しさを感じられた。お互いによい思い出として胸に秘めて満足していそう。


山崎育三郎さん。ロビン・ブレイク。木の精霊のようなあの緑尽くし衣装を着こなせていてすごい。まずそこに驚いた。お調子者でどこに行っても生きていけそうな流れ者というのが納得できる育三ロビン。平野ベスとの恋愛シーンも予想以上によかった。育三ロビンは、即位後はあまり自発的にはエリザベスの動向をチェックしていなさそう。酒場で周囲から伝え聞くエリザベスの話を黙って笑顔で聞いていそうなイメージ。一方の加藤ロビンは、女王即位後もエリザベスの動向を気遣わしげに窺っていそうな気がして、幸せになってくれ……と願いたくなる何かがある。育三ロビンは生命力に溢れていていいね!どちらにもよさがある。

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古川雄大さん。フェリペ。ロミジュリで古川雄大さんを見て、そのビクスドール感に惹かれて今回の『レディ・ベス』チケットを獲った経緯があるので、古川フェリペは今回のお目当て!いやー、フェリペの無駄に肌を露出させたあの格好が恐ろしく似合っていて凄まじい。フェリペ登場直前にオペラグラスを構える観客が多いのも頷ける〜〜〜!「クール・ヘッド」の中毒性恐ろしい。歌詞で「行かず後家のブス」の箇所、ブスとデブの二パターンあるのか!どちらにしてもキツイ。二回目の観劇だからか、スペイン国王である父の駒の一つとして扱われることを厭うているフェリペの思惑がさりげない所作や視線に感じられて、細かなところで楽しめた。図らずも毒殺してしまうあのシーンは、古川フェリペで観てみるとやっぱり故意のように思えた。この辺りのルナールとのやり取りが最高。

今作ではエリザベスが自発的には動か(け)ないために、フェリペ頼みな部分がものすごく多い。ただでさえスペック飽和状態なのにチートさがどんどん増していくフェリペ殿下。フェリペに頼りきった状態で終わらせるんじゃなく、後の無敵艦隊関連のあれこれを示唆する二人の掛け合いでも挿入されていたら嬉しかった。即位式にも呼ばれてなくて悲しすぎるよ、フェリペ。


吉野圭吾さん。シモン・ルナール。スペイン大使。すごくすごく好き!スペイン組の衣装は全て最高!エリザベスを消したいという願望は分かるけれど、それ以外は何一つ思考が掴めない謎の人物。せっかくの魅力的なキャラクターだからもう少し主張の伝わるセリフがあればなぁ。フェリペ殿下との掛け合いでは、お互いにそれとなく主導権を握ろうとしている感じがよい。このボンボンめ、と舌打ちぐらいはしていそうなところが最高なルナール。でもフェリペ殿下のクール・ヘッドにはちゃんと一目置いていそうで滾る。仕えていて損はないと思っていそう。フェリペ殿下とルナールの初対面の様子が見たい。


『レディ・ベス』が「世界初演」と大々的に銘打っていたことは知っているけれど、そのうち海外での公演も始まるんだろうか。ヘンリー8世アン・ブーリンの扱いが今のままで変更なしなら、海外での反応には興味津々。アン・ブーリンが清純担当ってなかなか見かけない気がするけど意外とそうでもないのかな。

恋愛と王位、どちらも描いているためにかえってあっさり風味に感じられたストーリーにはあれこれ物申したけれど、またいつか再々演があれば一度は観てみたい。ロミジュリ以来久しぶりに、Wキャストの比較もできて楽しめた舞台だった。