僕は君が

ときめきの用例採集

『グランギニョル』

TRUMPシリーズ初心者が7/31に『グランギニョル』ソワレ公演を観てきた。とりあえず、ネタバレ控えめ簡素感想を。ネタバレだらけの感想は東京公演終了後に載せる予定。

TRUMPシリーズの噂だけ聞いていた初心者だけど、最新作が上演されるこの機会にシリーズ全作集めようかと考えてたところに再販があったので、『TRUMP』『SPECTER』ゲット。『LILIUM -リリウム 少女純潔歌劇-』はハロヲタ友人から借りた。初心者ゆえに『グランギニョル』もTrue公演・Reverse公演があるのかと勘違いして、それとチケット戦争かと思っていたから3枠申し込んだところ全て当選。何とお席がご用意された。喜んで3回行ってくる!初めて生で観るTRUMPシリーズ!
グランギニョル』観劇前の事前知識は『TRUMP』だけ。一度観ればそれを知る前には戻れないから、まっさらな状態で『グランギニョル』一回目に臨もうと思っていたけど、独自の用語の把握ぐらいはやっぱりしておきたいと考えて『TRUMP』を観た。その結果、『グランギニョル』を観て頭を抱えることになった。あああああ。TRUMPシリーズ各作品の感想はそのうち書きたい。一つ言えるのは、何も知らないまっさらな状態で『グランギニョル』を観るという体験をしたかった~~~!あああああ。『グランギニョル』帰宅後~翌日にかけて、『LILIUM』『SPECTER』をぶっ通しで観るっていう命知らずな真似をした結果、色々なピースが当てはまっていって、残酷劇という素晴らしすぎるネーミングにひれ伏すことになった。ひれ伏しすぎて地面に額擦り付けるわ。
TRUMPシリーズ過去作を一切観ていなくても、観ていないからこその感想を持てるっていう確信しかない。舞台を観ながら頭を抱えるか、その後DVDを観ながら頭を抱えるかの違い!TRUMPシリーズを知らなくても、入場時に渡されるフライヤーの中に簡単な用語集や相関図が記載された紙が入ってるので、そこを熟読しておくとかなり分かりやすい。私はカタカナをなかなか覚えられない方なので(FFは鬼門)、その紙である程度登場人物の名前は把握しておいた。

特権階級である名門貴族の家督者であり、吸血種の統治機関《血盟議会》の若手議員でもあるダリ・デリコ。ダリはある日、上司ヨハネスより停職処分を受ける。ダリが遂行した異教団殲滅作戦の際に、保護されたスーという《人間の女》が身籠った赤子が、ダリの子であるという疑惑が議会にリークされたからだ。もしそのことが明るみとなれば、それは吸血種と人間種の間で締結された《不可侵条約》に違反する行為であり、将来を嘱望されていたダリの失脚に繋がりかねなかった。 だが、停職中であるはずのダリは、ヨハネスよりある事件を秘密裏に捜査することを命じられる。それは、各地で発生していた《繭期少年少女失踪事件》の真相を解明せよというものであった。ダリは、任務補佐官に任命された下級議員マルコと、護衛 兼 合同捜査官として派遣されたヴァンパイアハンター歌麿と春林らと捜査チームを結成し、事件を追うこととなる。
事件を追う中で、《黒薔薇館》という闇の社交倶楽部が捜査線上に浮かびあがる。その黒薔薇館の会員の中に、ダリの同期議員であるゲルハルトの姿があった。またダリたちはその社交倶楽部で、不老不死を研究するバルラハという男と、ダミアンという謎の人物と接触する。ダミアンは、歌麿と春林が長年追っている、多くの猟奇的事件を裏で糸引いていると目される吸血種だった。またバルラハの傍には、アンリ、キキ、オズという三人の吸血種の少年少女たちが付き従っていた。三人は、失踪者リストに掲載されている吸血種たちであった。
一方、教団の残党から命を狙われるスーは、デリコ家の屋敷に匿われていた。だが、人間である彼女は屋敷の使用人たちから嫌悪され、不遇の扱いを受ける。その彼女を庇ったのは、ダリの妻であるフリーダであった。スーとフリーダは、次第に心を通わせていく。しかし、スーを身籠らせたダリのスクープを追う新聞記者ジャックがフリーダに近づく。
混迷する人間関係、血盟議会という巨大組織との対峙、陰謀渦巻く黒薔薇館、そして吸血種の間で伝承される原初の吸血種《TRUMP》の不死伝説──事件を解き明かした先で、ダリがたどりつく真実とは?

grandguignol.westage.jp

 

たどりつく真実とは?とあらすじで謳われているけれど、若かりしダリ・デリコ卿が追うことになるとある事件の黒幕については終盤まで興味を引っ張るほどの引力は持たされていなかったように思う。ある人物が舞台上で導き出される前に、観客の大多数はその答えに辿り着いていただろうし。人物の正体より、あちこちに意味深に散りばめられた謎や過去作との関連を匂わせるキーワードが唸りたくなるタイミングでチラ見せされたり回収されたりして、私はそちらに滾った。随所に挿入される過去作の暗示が匂わせる程度じゃなく結構明示されている部分もあって、仄かに匂わせられる方が好きだなぁと思ったけれどこの辺りは個人の好み。TRUMPシリーズ初見でも、これは今後に何か絡んでくるキーワードなんだろうと気がつける部分があると思う。
グランギニョル』では既存設定について踏み込んだ追求がなされていてさらなる深化を目の当たりにした気分。『無限の住人』というマンガ(映画化もされました……)で不死の男(木村拓哉さんの演じた役)が登場するんですけど、マンガ中盤ではその不死の仕組みについて嫌というほど研究するんですよね。不死の男から斬り落とした腕を別の人間に繋げた場合、不死の要素は受け継がれるのかといった具合に一つ一つの可能性を追求していく。そういう設定の深掘りが好きなので、今回『グランギニョル』を観ていてそれをふっと思い出した。それでもイニシアチブについてはまだ疑問が残る。自分の理解力に絶望する。

グランギニョルというタイトルからある程度覚悟を持って臨んだけれど、終盤なんて本当にもう、間違い探しの袋小路に迷い込んだような気分で胸を掻き毟りたくなった。これが繭期ってやつですか……。間違い探しの袋小路といっても、決定的に間違いと言い切れるものが少なくてそれが余計に辛い。あの人物があの選択をしなければ、と一旦は考えるけれど、じゃあどうすればよかったのかという正答が思いつかない。まさに丁寧に退路を断たれた袋小路。この作り込まれた世界は退廃的で耽美的で残酷劇の名にふさわしい。そして、過去作を知れば知るほど今作での各登場人物の様々な選択が残酷劇を彩るピースになっていく。それらの選択の結末を敢えて舞台上で演じさせないことでより残酷さが際立つ、気がした。だから、あのセリフでの幕の下ろし方は本当に素晴らしかったと思う。TRUMPシリーズ全作を貫く残酷劇。救いとも言えるのは(本当にそう言えるのかは正直自信がない)、『グランギニョル』で初めてTRUMPシリーズに触れる観客にとっては、今作はかすかな希望が灯されたような温かな舞台だったのではと思える点。シリーズを知っているとどうしてもその後の未来を連想して打ちひしがれたくなるけれど、『グランギニョル』単体ならば未来はかすかに明るい。

グランギニョル』は血の呪いに翻弄され、それでも足掻いていく「生」の物語だと感じた。ダリもゲルハルトも家名に囚われ、生まれに縛られている。目に見えない不確かなものに縛られている二人はそれでも、目に見えないまた別のもので微かに救われもする。でも、二人を救う情(家族愛や友情)もまた不確かで、必ずしも血の呪いに勝てるわけじゃない。血の呪いについては他の登場人物にも言えることで誰も彼もが苦しんでいる。本編で、幸せか尋ねられたある人物が「幸せになろうと努力しています」と答えるシーンがあるけれど、ここが愛おしくてたまらなかった。それと同時に切なくて胸が痛くなる。生きるために抗って幸せになるために努力する姿は美しい、はずなんだけどな。

美しいといえば、『グランギニョル』は溢れ返る美!美の洪水!キャスト陣の美貌はもちろんのこと、と今文章にしたけれど、あの美しさは当然のものとして片付けていいんだろうか。いや、よくないと反語まで持ち出したくなる。本当に、二度見三度見レベルに皆々様美しくて驚いた。特に対照的な二人、ダリとゲルハルト。ダリ、場に君臨するのが納得すぎる圧倒的カリスマ性。ゲルハルト、くるくるの金髪巻き髪があんなに似合う男性実在するのか。グランギニョル世界の貴婦人だけじゃなくこっちの女性からも確実に羨まれるでしょ〜〜〜、あんな美しいゲルハルト。アクションも多くて殺陣の速さには滾るしかない。殺陣があるとは思ってたけれどこんなにスピード感ありまくりだとは予想外。殺陣の効果音がよく響いていて迫力が増した。序盤でゲルハルトが剣を落としてしまうアクシデント(恐らく)があったけれど、その後難なく如才なく取り上げていて、三浦涼介さんスマートすぎる~~~とあの瞬間は拍手したくなった。ゲルハルト様は下々の者にそんなこと望まないだろうからしないけども!

衣装や音楽もどれを取っても美しい。ダリやゲルハルトの着ている黒のロングコートの裾の長さが完璧すぎる!最も美しい長さなのでは???二人が殺陣をする度に綺麗に翻って溜息が出るぐらい。李春林と歌麿の衣装は二次元みが強くて最高オブ最高。この二人は特に二次元でこういうキャラいるいる〜〜〜ってものすごく頷ける感じの人物像でときめきしかなかった。推せる。繭期のキキたちは『LILIUM』を思い出させる白一色のフリル盛り沢山の衣装。かわいいいいいい。ツインテールのキキの白のリボンがキュートの極み。音楽は主題歌を筆頭にどれもものすごく耽美でうっとりした。黒薔薇館で歌われる音楽が特に好きだから音源化してほしい。中盤以降は客席も楽器だったよ……。思い入れのある舞台によって涙腺刺激ポイントが違うんだろうけれど、こだまする啜り泣きが凄まじかった。BGMが啜り泣き。


簡単なキャスト別感想。ネタバレあり感想のときにはもっと詳しく書き連ねたい。
染谷俊之さん。名門貴族の当主、ダリ・デリコ。あれ?宗教画かな???と目を疑いたくなる圧倒的美貌。自分を尊敬する部下に「ダリちゃん」呼びを命じて、自分への敬意と上司命令遵守の間で葛藤する様を眺めて楽しむチャーミングなドS。そういうプレイだそうで。部下を四つん這いにさせてその上に跨る姿が似合いすぎてて最高。人との距離感が結構近い。全てを煙に巻いた話し方が素敵。そういうところは『TRUMP』のダリに通じるものがやっぱりある。上司への慇懃無礼な態度や女性に見せる繊細さやツンデレっぷりもたまらない。対ゲルハルトでは基本的には面倒臭そうにしながらも、肩パンしたりして自分からじゃれ合いに行ってるところが微笑ましい。殺陣が速い上に剣さばきが美しくて、手元に思わず注目してしまった。

三浦涼介さん。名門貴族、ゲルハルト・フラ。『どうか闇を、きみに』のときも震えたけれど本当にお顔小さすぎでは???腰の部分がきゅっと締められてる衣装だからそのスタイルの良さがさらに強調されていて凝視してしまった。同じ名門であるにも関わらず自由奔放に振る舞うダリへの反発と憧憬が繊細に表現されてて性癖どストライク。ダリへのコンプレックスを抱えてる上に過去も現在も家庭環境には複雑な事情あり。こんなの好きになるしかない。ダリに対峙するときの態度ではデフォルトとして顎をつんと上げていてその角度がもはや芸術。ダリに肩パンされたとき、痛い!と声を上げて、その無防備な感じが可愛くて仕方なかった。貴族としての優美な立ち居振る舞いが堂に入っているからこそ、それ以外のシーンが胸に詰まる。

東啓介さん。ヴァンパイアハンター、李春林。高身長!足が長い!二次元から抜け出てきたような出で立ちにひれ伏すしかない。この舞台にはどれだけ規格外の三次元の方々が揃ってるんだ。語り部的役割を務めることが多かったけれど声が聞き取りやすい。パンフレットのコメントでも触れられていた通り、相棒の歌麿とのコンビ漫才が 『グランギニョル』の清涼剤。癒しすぎる。春林と歌麿は一番二次元みに溢れてる二人。最遊記とかハガレンに絶対出てそうじゃん……。登場シーン、ポジティブダブルピース、歌麿への犬扱いなどなど、春林はとにかくノリがよくて最高。奥の手は予想外で本当に興奮した。そういうのアリなんだ!?中国武術は肘を引いたり膝を曲げたり大きな動きが多いからあの長身に似合いすぎていて、中華系ヴァンパイアハンターというキャスティングに感謝。春林と歌麿の珍道中が見たい。こうやってスピンオフに救いを求めがちなヲタク。

田村芽実さん。繭期三人組の一人、キキ・ワトソン。真っ白な衣装にツインテールで可愛い!冒頭から雰囲気が凄まじくて、声を発したときには一瞬で場を掌握していたような気さえする。憑依型っぽい。可愛い声だと最初は思ったけれど歌声は結構大人びてる気がする。舞台上での話し声は基本的に甲高い可愛らしい声なのに不快感がないちょうどいいハイトーンで、その辺りも調整した上でなのかな?すごい。「愛してあげる!」が決め台詞として頻出するけど、シーンごとにその意味合いが違ってくる。愛すことも殺すことも彼女の中では同等の熱量で、クレイジーさの影に隠れた繊細さが愛おしくなる。繭期三人組の中でもとりわけ高い戦闘能力を持っているキキだから男性キャスト陣にも張り合う運動量のはずだけど、終盤でも全く疲労感を感じさせなかった。ハロヲタ友人に事前に推されてなくても、絶対に田村さんには目が行っていたと思う。

まだあと2回観れる予定なので、ネタバレだらけ感想は1週間後ぐらいに書きたい。考察や分析に付き合ってくれる相手もいないから、誰かをTRUMP沼に引き入れたい。