僕は君が

ときめきの用例採集

『22年目の告白』

藤原竜也さんの映画やドラマは最近、結構観てる気がする。先日最終回を迎えたリバースも観てた。今回の『22年目の告白』も公開初日レイトショーで観てきたから感想を。レイトショーでもかなりの満員でした。番宣とCMすごいもんなぁ。

「クズの役ばかり来るようになった」って以前に語ってた藤原竜也さん。そんなにクズの役してるっけ?と思ったけど、『カイジ』『藁の楯』って考えると結構多いのか。『デスノート』の夜神月ももしかしてクズ役扱い?夜神月は終盤がダメだったけど、尋常じゃない精神力と覚悟の下であれだけの犯人を裁いてたって原作番外編でもフォローされてるんだけどなぁ。クズ役より何故か追い詰められて絶叫してる役の方が多い印象。『バトルロワイアル』や『インシテミル』『僕だけがいない街』、あとはドラマ『そして、誰もいなくなった』とか。大体、周りから裏切られてる。
たしかに、30代俳優の中でクズ役をやらせたら藤原竜也さんの右に出る者はいないのでは?とも思う。でも、藤原竜也さんが演じるクズって圧倒的にサイコパスじみたのが多い。クズ役にも色々なクズがあって、忍成修吾さんとかは日常生活に息づくクズな感じ。お金奪ってくヒモとか、イジメをしてくる陰険な先輩とかそういう役なら忍成修吾さん一択。整ってる顔なのにムカつくクズ役がすごく上手で、かなりの年数そういう役が多めな印象。だからこそ、たまに忍成さんがいい人役やってると嬉しくなる。何で私はクズについて熱く語ってるんだ。クズ役が好きだからだ。そうだ。

今回の『22年目の告白』で藤原竜也さんが演じる曾根崎雅人はまさにクズ!「初めまして、私が殺人犯です」の名乗りで登場する曾根崎雅人は淡々と、自分が犯した殺人に課していたルールを暗闇の会見の場で語り始める。そうして残酷で人でなしのそのルールを語り終えたら、綺麗に髪がセットされた美しい顔がライトで照らされる。あの髪型最高。あの美しさとパフォーマンスもあって、映画の世界でのソネ様ブームに説得力が増してる。もさい深瀬くん@リバースとの高低差でキーンとしますね。リバースといえば、湊かなえ作品へのイヤミスって評価はそろそろ止めた方がいい気がする。イヤミスだから……ってメタ的思考でどうしても筋が読めてしまう部分が最近ある。折角面白いのにネタバレじみててもったいない。

 


ここから先は何を書いてもネタバレになりそうなこの映画。犯人の名前までは触れてませんが、大体のことは書いてしまってますのでご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦地という特殊環境下、目の前で大事な人を殺された男がPTSDを発症して、帰国した日本で、同じ境遇の人間を作り出すために連続殺人を行なっていたというのが過去の連続殺人の真相。自分と同じ存在がこの世にいることで心の安寧を保とうとしたらしい。だから殺害のルールには、自分の過去の経験が大きく反映されてる。その連続殺人の一環で婚約者を殺された男が飛び降り自殺を図り、辛うじて一命を取り留めてしまう(しまう、と言い方が本人の心境には相応しい)。仕方なく自殺を諦めて整形手術を行い、恋人の兄であり刑事でもある男と協力し、連続殺人犯を炙り出すために偽の犯人として世間に大々的に姿を現すというのが大まかなあらすじの今作。

いやー、二転三転して面白かった!冒頭の殺害時の怒涛の映像シーンには、あれ?この映画R指定ついてたっけ?とちょっぴり思うぐらい。リアリティーありすぎる。時効物ってことで、とある映像が出た時点である程度の落としどころには気がついたけど、それでもまだ読めない部分もあったからハラハラした。今作は藤原竜也さんと伊藤英明さんのW主演っぽい!藤原竜也さんも伊藤英明さんもすごくよかった。あの壮大な復讐劇を執念で本当にやり遂げそうな気迫が滲み出てる二人。藤原竜也さんの年齢設定はどうなってるの?と野暮なことも思ったけど(22年前の連続殺人の犯人とするにはあまりにも若くない?)、この役をできる俳優さんは他にいないだろうし仕方ないのか。

この映画では、阪神淡路大震災が重要な事件として扱われてる。自分はまだ小さかったけれど、あの当時の地面の底からのような激しい揺れは覚えてる。あの日からもう何度も繰り返し流されてる映像が映画冒頭に出たけれど心を揺らすことはなかった。ただ、連続殺人の最後の被害者(被災して上京してきていた)の言葉、「あの震災で皆と死ぬべきだった」。これはダメだった。言葉にならない。これを犯人から聞かされた婚約者の気持ちたるや。でも、あの震災後、これに似た言葉はあちこちで聞こえたと、まだ小さかった自分でも記憶してる。
犯人は、その女性を殺害して以降、連続殺人を一切止めている。その理由については本編では特に触れられてなかった。ただ、1995年は阪神淡路大震災地下鉄サリン事件もあった年だ。犯人が課していたルールとは異なるけれど、大事な存在を目の前で失った人が多くいた。犯人自らが作り出す必要がないほどに、あのときの日本には(犯人にとっては)同じ境遇の存在がいたと思う。だから、犯人は連続殺人を止めたんじゃないのか、とも思えた。

ちなみに、この映画は、予告編CMが観客を騙す一つ目の装置になっていてすごい。藤原竜也さんが笑いを隠しきれない口元に手を当てて刑事である伊藤英明さんに、「アンタが鈍臭いから5人も死んだんだよ」と囁くシーン、CMでも繰り返し流れてる。ここまで煽るなんて本当にクズだな!と誰もが思いそうなあのシーン、あれこそがフェイク!見事に騙されました。