僕は君が

ときめきの用例採集

MU『GIRLS』

5/25、MU『GIRLS』を観に行った。
場所はSPACE雑遊。新宿三丁目のC5出口階段を上ると目の前。行きやすい。椅子がふかふかで気持ちよかった。

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プログラムがA・Bの2つあり、私が観に行ったのはBプログラム。『めんどくさい人』+『初恋は消耗品』のセット。『初恋は消耗品』というタイトルにつられてBプログラムを選択。

 

『めんどくさい人』

虚無が充満するマンションで花恵は男を買っている。その金で何でも解決する姿をまぶしく感じた男たちが言い寄るも、花恵は「ストレスで生きているだけで発狂して死ぬ美しい青い鳥」を捕まえて来いと、無理難題を命じるのだった…

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「ストレスで生きているだけで発狂して死ぬ美しい青い鳥」というモチーフがまず美しい。大人の寓話みたい。ただの青い鳥じゃなくて、「ストレスで生きているだけで発狂して死ぬ美しい青い鳥」。メーテルリンク『青い鳥』を思い出して、その結末で示された身近にある幸せとやらがこのストーリーに絡んでくるのかと最初から惹き込まれる。
花恵が男を買う暮らしをしているという設定だけあって、舞台上にはベッドが置かれてる。花恵はずっと無気力にパジャマ姿。男性は売春夫としてのお仕事があるので下着姿が多め。そういえば、ここまで男性の下着姿を眺める舞台も初めてな気がする。

暗転のときに毎回、誰か一人がラウンドガールみたいに「chapter 1」などと書かれたボードを持ってポージングする。Chapterの文字は暗闇の中で光ってる。Chapter4か5だったかな、野木さんが花恵のベッドで雑誌を読んでる風にそのボードを持つのが好き。オシャレな暗転だなぁ。 

 

真嶋一歌さん。金持ちの女、花恵。この舞台に興味を持った切っ掛けが、真嶋さんの憂いを帯びた表情が全面に押し出されたあの美しいフライヤー。冒頭の「重要なのそこじゃねー」や「どう思う?」の粗野で投げ遣りな言い方が虚無感たっぷり。途中、不意打ちのメガネ姿が最高。武藤と今口の因縁を語るときにカインとアベルの話が出てきたから、花恵さんは二人にとってのヤハウェなのかも説。ラストで今までとは打って変わって戦闘服のようなドレスに身を包んだ花恵が半泣きで告げる、「つまんないんだ、私の人生」。武藤を拒絶し続けた花恵がやっと彼を受け入れようとして、万が一の彼からの拒絶も恐れる。その姿がたまらなく可愛い。今まで、不自然なほどに刺々しい粗野な口調だった花恵のコーティングがやっと剥がれた瞬間。そんな花恵に武藤が送る言葉が素敵過ぎる。

 

青木友哉さん。売春夫、武藤。花恵に惹かれる男一人目。武藤は性的な雰囲気を驚くほど匂わせないで、不器用なぐらいまっすぐに普通の人だった印象。そういう武藤だからこそ、何度も何度も花恵に告白するのがよかった。藤原竜也のくだりは爆笑。後半での今口との因縁が明かされたときの、絞り出すような声での「助けてあげたんだ」。言い方がすごくすごく好き。この部分での武藤の感情はまだ咀嚼できてないけど、あの表情も目蓋の裏に焼きついた。

 

橋本昭博さん。売春夫、今口。花恵に惹かれる男二人目。私の中での「売春夫」のイメージを分かりやすく具現化すると今口に近い感じになりそうなので、刹那的でほどよくチャラいあの感じがすごく好印象。武藤との対比としてもよい感じ。花恵のために青い鳥を探しに行く行動力まで持っていて、意外と愛に生きる男なのかと驚いた。武藤とはまた違った形で今口も花恵を救ってきたと思う。

 

兎洞大さん。売春業者、野木さん。元役者だった武藤のファンでもあり、武藤のことが好き。「セックス下手ですいません」って花恵に囁くシーンが無性にかっこいい。野木さん好き。 

古市みみさん。野木の妻、美奈子さん。今口のファンでお得意様、今口のことが好き。美奈子さん、苛烈だけど可愛い女性。終盤での花恵との掛け合いで女らしい嫌味さが滲み出ていて良かった。姉御感と今口への乙女心の配分が絶妙。


twitterの感想でも書いたけど、アイドル(偶像)とファンの関係について考えさせられた。野木夫婦はそれぞれが武藤、今口のファンだと本人たちに自称していて、実際には恋愛感情まで持ってる。元役者の武藤の才能に惚れ込んでる野木さんは、売春夫として燻ってる武藤へ、また役者活動を再開するよう勧める。ストーリーの本筋じゃない部分だろうけど、このくだりで強烈に胸が締め付けられた。今の立場(武藤は野木さんの下で売春夫として雇われてる)の方が二人の距離は圧倒的に近いのに、舞台の上に戻れと野木さんは武藤に言い募る。ファンとして惚れ込んだ相手にまた輝いてほしいんだ。ああ、野木さん、好き。
一方で、妻の美奈子さんは、今口が他の客とプライベートな関係を持ってるんじゃないかと疑って(実際にその通りなんだけども)、今口を激しく責め立てる。今口のスマホも割っちゃう。おまけに「誰のものでもないから好きなんだからね」って今口に念を押す。その感情も理解できる〜。売春夫と客の関係とはいえ、誰かのものである男のためにお金を使う気にはならないっていうのもまた真理だ。

 

昨日、AKB総選挙で、一人の女の子が結婚発表をした。とてつもない爆弾にオタク界隈は騒然としてる。現メンバーだけじゃなくOGたちも意見をしたから余計に大きな騒ぎになって、twitterじゃ昨夜から議論が続いてる。あの発表の善悪も是非もきっと、誰にも判断できないから、自分の感情を正義として振りかざすしかない。私の推しはもういないけど、総選挙はいつまで経っても心が揺さぶられるなぁ。お祭りと思うには距離感が難しい。
ファンには色んな形がある。「誰のものでもないから好き」派には昨日の発表はすごく辛かったかもしれない。その気持ちに寄り添うコメントをするメンバーも一部にはいた。一方で、そのコメントに負の感情を持つ人もいる。AKBグループが今まで曖昧に掲げていたルールを根底から揺るがす発表だったからこそ、あの発表について触れるときに、全方位に優しい言葉なんてきっと誰にも言えない。
アイドルなんて偶像で、その幻想を商品として売ってる面はたしかにあるのかもしれない。それでも、たとえその幻想越しだとしても好きになった子が、ほんの少しでも今現在より輝ける手段があるのなら、ファンは背中を押しちゃうんだよ。野木さんが武藤に役者に戻るよう言ったように。美奈子さんが今口のために青い羽を買い求めたように。なんてことを昨日考えてた。ああ、でも、役者に戻れって野木さんに言われたときの武藤の表情を思い出すと、結局何もかもファンのエゴなのか……って気持ちにもなる。『めんどくさい人』感想のはずなのに、どうしてAKB総選挙について私は語ってるのか。小ネタとしては、品川埠頭で金持ちが集まるオークションを開催してるって設定が好きです。品川埠頭、どこかの倉庫でそういうの行われてそうな感がすごくある。

 

 

『初恋は消耗品』 

優菜は27歳、初恋はまだない。写真の専門学校に通い、おしゃれ雑貨屋でバイトしている。「初恋は結婚まで実らないから意味なくね?」と気づいた優菜は、焦り、恋愛の練習のために、雑貨屋の店長に白羽の矢を立てる… 

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「恋愛の練習」ってテーマは少女マンガでの王道!大体コーチ役の男の子とくっつくんだけどその過程がいい。

『初恋は消耗品』なんて、タイトルからして惹かれる。「初恋」と「消耗品」のアンバランスさよ。このキャッチーなタイトルから始まって、面白かったり胸に刺さったりするセリフが怒涛の勢いで20分間に詰め込まれてる。冒頭の「初恋って意味なくないですか?」から「私みたいな可愛い子とリスクもなしに付き合えるんですよ」まで、どんな方向に拗らせてるんだろうってセリフに笑い転げた。店長は店長で、さすがは何人もの女性に選ばれてきただけあって気遣いが素敵。職場恋愛について語るシーンでは、周りに頷く人が多くて面白かった。職場恋愛はもろ刃の剣!20分があっという間で本当に楽しかった。