僕は君が

ときめきの用例採集

『TOKYO TRIBE』STAGE

TOKYO TRIBE』STAGE10/7ソワレ公演のネタバレあり感想。一部セットリストにも触れています。

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梅棒は私を裏切らない!!!今後の梅棒公演、最低2枚はチケットを確保しておこうと決意させてもらえる素晴らしさだった。アガる~~~!!!あ、『TOKYO TRIBE』STAGEは梅棒の伊藤今人さん演出で、梅棒メンバーも出演してます。

HIPHOP?ぷちょへんざ?「俺は東京生まれHIPHOP育ち」?なんて浅すぎる知識(とさえ多分呼べない)しかなくて、ダンス×演劇×HIPHOPを打ち出している今回の『TOKYO TRIBE』についていけるのかな……と恐る恐るの観劇だったのに最高に楽しめた!間近で見るダンスと生で聞くラップの熱量偉大すぎる……!今はセットリストを参考にしてYou tubeでJ-Rapを聴きまくっている。
「2017年 秋、シヴヤ、抗争に踊る。」というキャッチコピーにふさわしく今回の劇場は渋谷、TSUTAYA O-EAST。本物のライブハウス。貰うフライヤーも普段の舞台とはちょっと毛色が違っていて、ライブ情報誌なんて新鮮。友人のバンドを見に小さなライブハウスに行くことはあるけれど、O-EASTなんて比較的大きめのハコには入ったことがないので少し緊張した。今回は指定席とスタンディングがあって、スタンディングってどういうことなの……と思ったので指定席を購入したけれど、指定席横に柵で仕切られたスタンディングエリアがあってまさにライブハウス。1ドリンク制でアルコールを飲みながら舞台を観られるって、ここはKen's bar(アルコールも提供する平井堅のコンサート)か……と開演前からカルチャーショック。

 

架空都市トーキョーにはいくつもの「トライブ」が存在し、各々の街を縄張りとし日々を生きている。トライブのひとつ、渋谷SARUのメンバーである海も、いつものように仲間達との変わりない日々を送っていた。そんな中、かつて海の親友だったメラが率いるトライブ、池袋WU-RONZの手によってSARUのメンバーが凄惨な死を迎える。
渋谷SARUリーダーのテラは暴力による事態の解決を禁じたものの、そのテラ自身もメラの手によって殺害されてしまう。そして、海とメラの過去に関係するスンミ。渋谷SARUと池袋WU-RONZの抗争に巻き込まれる原宿JINGUS。生み出された火種は再びトーキョー中を巻き込んだ抗争へと発展していく。

 

tokyo-tribe.com


原作は読んだことがあるけれど記憶が少々曖昧。Tribe=族、というのはこのマンガで覚えた。映画・アニメは未見。ラップミュージカルと謳われている映画の感想を漁ったところ、原作とは大分内容が違うっぽい。原作ではストーリーよりも画の強さ重視と思える部分も多くて、容赦なく淡々とキャラは死んだり怪我を負ったりする。幼い頃にこの原作を読んで以来どうしても試着室を警戒してしまう。トラウマ。ブッバ(裏社会ボス)の残虐ショーなんて絶対に実写化無理だ~。
トーキョーを支配するギャングの抗争というと今をときめくハイローを思い出すけれど、『TOKYO TRIBE』では仲間が呆気なく死んでいるので基本的にシリアス。日本刀やチェーンソーを武器として躊躇なく殺したりでバイオレンスに振り切っている。今回の舞台では、原作での残虐描写はほぼカット。登場するグループも減っている。そのため登場人物(特にメラ)の行動原理に謎な部分が少し生まれている気もするけれど、この辺りは原作未読ならかえって気にならないかも?原作を知っているからか、メラが随分と愛に生きる男に……と最初は感じた。原作の大きな流れは損なわないまま重要エッセンスはちゃんと入れられているし、若干エモい方向にストーリーが組み立てられていて、それが好みドストライク。あと、ブッバとスカンクは原作より格段にかっこよくなっていて、最初誰だか思い出せなくて驚いた。かっこよすぎるでしょ!原作未読の方には「ブッバ」「スカンク」で原作キャラクターをググってほしい。

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TOKYO TRIBE』のここが最高!

①ダンスが最高
ダンスに詳しくなくて具体的な技名まで書けないのが悔しすぎるけど、とにかくどのダンスもすごい!!!観て!!!(語彙力)片手だけで全身を支えて何秒間も停止とか、手だけで延々回転し続けるとか、ダンスひいては人間の身体能力に感嘆する。自然と口から歓声がこぼれてる!梅棒メンバーはもちろんのことその他のキャスト陣も素敵すぎるダンスの連続で全編ずっと最高。梅棒前回公演『ピカイチ!』でも一際輝いていた魚地菜緒さん、まだJKであどけない雰囲気なのに凄まじいダンスを見せてくれる。役柄としては原宿JINGUSの中で紅一点の存在で、今回も恋する乙女で、とにかく可愛い。そりゃこの子を人質に取られたら原宿JINGUSメンバーは池袋WU-RONZに従うしかない……という説得力がすごい。
トライブごとにダンスのテイストは違っていて、ブレイクダンスからジャズダンスまで色々あり。池袋WU-RONZ3人組(ライオンキングのハイエナ3人組を思い出した)のダンスが好き。今回ライブハウスが会場というのもあってステージとの距離がかなり近い。おまけに、②で触れる通り、生でのラップもあるから熱気が凄まじい。盛り上がりがまさにライブ。そんな中で、ダンスに縁遠い日常では絶対にお目にかかれないようなパフォーマンスを間近で目撃できたら、熱狂するに決まってるじゃん!??まだ数回しか観たことのない新規だけど、梅棒絡みの舞台を観る度に観劇以外のアンテナも刺激されて最高オブ最高~~~。ダンスについては熱い記事が出ているのでそちらもぜひ。ダンサー向け情報サイトだからか、「ダンスを志す者ならば、これを観ないでどうする」と直球フレーズでよいですね!写真も載ってますよ!金属バットvs日本刀でのバトル写真など!字面で見ると「金属バットvs日本刀」ってどういうことだよって感じですね。そういう感じです。

dancefact.jp


②ラップが最高
まず、テーマソングがMIYAVI VS SKY-HI「Gemstone」という気合いの入りよう。この曲は11/8頃発売のMIYAVIアルバムで聴けるらしい。次に、本編で流れるJ-Rap。音楽監督にヒップホップMCのKEN THE 390さんを据えて、梅棒本公演と同じように既存のJ-Rapの曲を使用してストーリーは進行していく。梅棒本公演では基本的にノンバーバルでダンス×演劇×J-POPの合わせ技だけれど、今回の『TOKYO TRIBE』ではダンス×演劇×HIPHOP!本公演に比べれば多少セリフもあり。「俺は東京生まれHIPHOP育ち」ぐらいしか知らないのでHIPHOPのノリについていけるかなぁ……と正直そこが観劇前の最大の懸念事項だったけれど、杞憂!完全なる杞憂!勝訴!面白かった!フリースタイルダンジョンとか見ておけばもっと楽しめたのかも、とは思うけれど。観劇後にフリースタイルダンジョン公式サイト覗いたら、KEN THE 390さんって審査員なのか!ブッバ役のACEさんも出てる!『TOKYO TRIBE』、もしかしなくてもHIPHOP界隈の有名な人たちが出演していたんだと今更思い知る。また、既存曲だけじゃなくオリジナルのラップパートもあり。キャスト陣が自らリリックを書き上げたらしい。You tubeで公開中のKEN THE 390さんオリジナルラップはこちら。

youtu.be

私の中で最高潮に盛り上がったのは、DOTAMAさん演じる書記長(キャラ名)が原宿JINGUSたちと絡むシーン。原宿JINGUSの真似をしてたどたどしいダンスをしていた書記長がマイクを握った瞬間、めっちゃくちゃ流れるように淀みなくラップを披露し始めて、何事!??って驚いた。DOTAMAさんがヒップホップMCだということさえ気づいていなかったので本当にびっくり。DOTAMAさん、開演前の数分の小芝居にも付き合ってくれてるから何となく油断していた……。DOTAMAさんがマイクを握ってラップを歌い始めた瞬間、O-EASTが揺れた。熱狂した。独壇場ってああいうことを言うんだろう。観客が自然と歓声を上げるし、手を振るし、あれはまさしくPARADISE!書記長が歌ったのは、DOTAMAさんのバンドFINAL FRASH「PARADISE」。You tubeの公式動画はこちら。

www.youtube.com


③メラとスカンクが最高
はい、好み。ただの好み。好きです。メラとスカンクの関係性。何をおいてもメラ。Beat Buddy BoiのSHUNさん演じるメラ。カツアゲから助けたスカンクに懐かれたメラだけど、メラを独り占めしたいスカンクの策略によって恋人・フジヲが暴行された挙句に自殺してしまう。スカンクの策略とは知らないまま、死の責任を自分自身と親友・海(主人公)に求め続けて二人の友情は壊れることに。そうして、ブッバの元で池袋WU-RONZのトップとして汚い仕事を任されていたメラは恋人に生き写しの女性スンミを助けるため、ブッバに反旗を翻して……といったストーリー。主人公・海の影がどうしても薄い。メラは舞台冒頭ではまだ高校生で、そのときのセンター分け年下彼氏感が青春の極みすぎて尊い。恋人・フジヲを演じる宮澤佐江ちゃんの年上彼女感が最高。佐江ちゃんがあんなにOLっぽいセットアップを着ている姿を目撃する日が来ようとは……(元AKBヲタ)。メラはその後、池袋WU-RONZのトップになって以降、黒のロングコートを羽織ってサングラスをかけていて一気に大人の男性。ちなみに原作では、ブッバに両親を殺害されていたりでさらに波乱の人生を送っている。
スカンク。カツアゲより助けてくれたメラを恩人として崇めるあまり、その周囲の人間全てを邪魔者と見なす。恋人・フジヲの自殺によって親友とも絶縁したメラのそばを離れずに楽しく過ごしていたスカンクだけど、恋人にそっくりのスンミの存在をきっかけとして、メラはブッバに一人反旗を翻してしまう。その代わりに池袋WU-RONZの新トップに就いたスカンクの見つめる先にはメラ。このシーンで流れる歌がPSG「かみさま」。この冒頭の歌詞がスカンク→メラすぎて、梅棒の選曲センスは本当に神がかっている。

お願い神様こっちを見て
あいつらなんかよりこっちを見て

スカンク~~~!!!原作のスカンクはメラの歓心を得るためにさらに非道なことを繰り返していて同情できないんだけど、舞台ではそのスカンクの心情にも寄り添った場面が少しあって、それがたまらない気持ちにさせられる。こういう、最悪なまでに拗らせた挙句に結局何も手に入れられないキャラクターが好きなんだ……。

 

以上、『TOKYO TRIBE』の最高な点でした!トーキョートライブよかった!
ちなみに、梅棒での気になる存在・野田裕貴さんは渋谷SARUのメンバー・裸武を演じていた。漢字は勇ましいのにB-BOYっぽい服装が可愛すぎる。

TOKYO TRIBE』STAGE、残すは大阪公演だけ!10/21&22に松下IMPホールにて。関西近辺の方はぜひ!

『デスノート THE MUSICAL』(ネタバレあり)

デスノート THE MUSICAL』、通称デスミュ二回目を観てきたので、ネタバレだらけ感想を。知識としては原作・アニメ・映画は一通り観ていて、デスミュに触れるのは今回の再演が初。一回目9/14ソワレ公演、二回目9/22ソワレ公演で、両方とも浦井健治さんの夜神月。本当に残念だけど、柿澤さんの夜神月WOWOW放送で拝むしかない。WOWOW放送、何月なのかな。
一度目を観た後のネタバレ控えめ感想はこちら。

seshiki.hatenablog.com

楽曲が好きすぎて書いたナンバー別感想はこちら。

seshiki.hatenablog.com

あらすじは以下の通り。まさかの公式サイト消滅(?)により梅芸に記載されていたものを引用。ホリプロさん、公式サイト撤退速いな!?

「このノートに名前を書かれた人間は死ぬ」

死神リュークが、人間界に落としたデスノートを拾った成績優秀な高校生・夜神月

半信半疑でデスノートを使った彼は、その威力を目の当たりにして恐怖する。
しかし自分が理想とする社会を作るため、強い精神力で恐怖を乗り越え、凶悪犯を粛清しようと決意。

「心の正しき人々のために、すべての悪を裁こう」

デスノートの効果で次々に死んでいく犯罪者たち。
そして月は救世主キラとして、世界の人々から指示を集め始めていた。

だが、この不可解な事件を解決するために、日本警察は世界屈指の名探偵 L に捜査を依頼。
依頼を受けた L は、キラの逮捕を宣言する。

「追いつめてやる。死ぬのはお前だ」

今、二人の壮絶な戦いが始まる・・・・。

 

デスノート THE MUSICAL | 梅田芸術劇場


場所は新国立劇場。二回目観劇時に車で向かったところ、楽屋口と駐車場が地下1Fで同フロアのため行きも帰りも少し緊張した。一般人の自分は地下2Fの駐車場を利用すればよかった。本編終了後にはロビーに長い行列ができていて、あれはキャスト陣の出待ちだったのかな?入り待ち・出待ちもジャンルや舞台によって文化が違うんだなーと横目に見ながら帰っていった。ちなみに、新国立劇場での駐車場割引は600円なり。

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デスミュ全体の感想。原作全12巻(13巻はファンブック)をダイジェストのように凝縮するわけじゃなく、ほぼ第一部の内容からまた別の形の『デスノート』を新たに作り上げた印象。デスノート原作1話では「二人の選ばれし者の壮絶な戦いが始まる」という神視点のようなモノローグがあって、それがすごく印象的で心に刻み込まれている私にとって夜神月とLの推理戦は重要だけど、デスミュでは夜神月という一人の青年が破滅していくストーリーを主に丁寧に描いていた。そのストーリーに、異なる正義同士の攻防や家族・救世主への愛が凄まじい熱量で絡められていて、おまけに魅力的な楽曲が目白押しという圧倒的エンタメ!楽曲がどれもこれも本当によすぎる~~~。ポップスとロックとバラード、全て最高のものを取り揃えました的な。歌詞もこれまた適切かつ的確で、原作そのままの言葉を使っているわけじゃないのにエッセンスの抽出が巧みすぎる。このシーンやこの主張をこの人に歌わせるのかと一度目では意外な部分もあったけれど、それでも実際に観ていると納得しかない。演技と楽曲と熱量に平伏す!
普遍性を持たせるためか、舞台美術は基本的にはどの国での上演にも適したもので、日本独自のアイコンなんてハチ公ぐらい?スマホだけを見つめている群集のデフォルメ化ももはや日本だけじゃなく、デスミュが上演を目指していそうな国々でもよく見る光景だろうし。いつか現代の悲劇として、アジアから離れた場所でデスミュが上演されたらどういう感想が巻き起こるんだろう。ただ、デスミュでは現代悲劇としての面ばかりをクローズアップしているわけじゃなく、よい意味での2.5次元感も織り交ぜていて取っ付きやすい。全てにおいてデスミュは匙加減が絶妙。人間の愚かさをフォーカスしている一方で、レムの存在によって人間の持つ愚直なまでのひたむきさが多少なりとも救われている気がするし。
舞台中央には幕(?)が垂らされていて、それをデスノートとして用いる演出には滾った。幕にはDEATH NOTEと書かれている上にエンボス紙みたいな質感に見えたし、まさにデスノートっぽい!同人誌の知識しかないから、エンボス紙以外に的確な表現が思いつかない。ごわごわした紙。黒い幕の左端にライトを当てることによって冊子のような厚みが感じられるという効果も素敵。創意工夫次第であらゆる世界観が作り出せる舞台って本当に最高~~~!舞台のこういうところが好き!第一幕最後に白い幕が下りてきたかと思えば、そこに「休憩」と書かれていく演出もデスノートらしすぎるし、何から何までこだわりが感じられて丁寧な作りに嬉しくなる!それと、死までの刻限40秒間、秒針の音を響かせるという演出。否応なく進む時計の針に人間が抵抗できる術なんてないことを表現しているのだろうと思っていたけれど、終盤には、夜神月の奏でるシャーペンの音がその秒針に成り代わる。この瞬間、死神さえをも利用する位置に立った月は神の領域を完全に脅かしたのかもしれない。このペンの音の演出は本当にぞくっとした。生で観るのが一番だけど、WOWOW放送を録画して細かな演出を一つ一つ確認していける楽しみがあると思うと冬が待ち遠しい~~~!

キャスト別感想。

浦井健治さん。夜神月
生で観たのは五右衛門ロックシリーズのシャルル王子以来。あの浦井さんしか知らないため(シャルル王子はその後のゲキ×シネトークショーなどでも話題に上がる強烈キャラ)、色々と新鮮だった今回のデスミュ。カーテンコール時に両手を振る姿は五右衛門ロックのときも見た気がする!両手を振るって可愛いな……。端正なお顔なのはこの前のヨシヒコミュージカル回のときに学習済み。高校生役に大して違和感がないってすごい!冒頭の教室のシーン、いつから浦井トが登場しているのかチェックしたいのに、本当にいつの間にか紛れ込んでいて高校生キャストとの同化がごくごく自然。浦井トさんは紛うことなくモテてきた人種。一般男性はあんなに自然に女性の頭を撫でられないと思うんですけど!テニスのときの月は本当に、イケメンだからって女子を侍らせやがって感が強い~~~。でも、ギャラリーの男性陣が誰もそういうツッコミをしなくて自分の心の狭さを思い知った気分。何て優しい世界なんだ。
浦井トさんの声が結構興味深かった。初めは澄んだ伸びやかな声だったのが、徐々に感情を迸らせたような響きが強くなっていて、ピュア月から畏れを持たず神の領域を侵犯していく月への変化が感じられる。そして何といっても語尾!!!語尾に色々と妄想を掻き立てられる性癖なので、「でも正義も法律も別物でしょ?」と月が教師に尋ねる冒頭のシーン(開始して5分も経っていない)で早々とハートに被弾した。教師相手に「でしょ」って!あの夜神月の語尾が「でしょ」だと……?と一度目ではかなりの驚きもあったけれど、浦井トさんの喋り方が基本的に甘やかなのでその語尾が素晴らしく合っていて、二回目ではこれが聞きたかった!とニヤニヤした。月が基本的に比較的優しい声音だったのは妹・粧裕相手ぐらい?懐柔するためにミサミサには猫撫で声かなーと予想していたら、想定外なほどに早口かつ冷淡さのある声音で、飴と鞭がすごいぞ浦井トさま……と一度目の観劇時は震えた。ミサミサに比較的優しかったのは初対面で「ライトって読むんだ」と伝えたときぐらいなのでは……。天下のトップアイドルに出会って一言目でそれを臆せず言えるのが、さすが女性の扱いに慣れていそうな浦井トさん。対リュークは結構波があって、月の思い通りに事が動いているときは甘やかな一方、それ以外は激昂が多め。赤ん坊相手にしているような「分からないかなぁ?」は最高だったけれどそれ以上に、Lの名前を教えはしないと言うリュークに「何で!」と余裕なく詰問する一言の鋭さがよかった!浦井トさんのあの甘ったるい雰囲気は素の自分を隠すためのコーティングなのか、本来の優しさなのか、新宿覚醒の笑い声を聞いた後ではもはや判別がつかない。二回目に観たとき、あの笑い声って意外と数秒ほどで短めだったんだと気がついたけれど、インパクトが強烈過ぎてぞくぞくする。狂気ってこういうことか。あ、一線を越えた、とすとんと理解できた夜神月in新宿駅
月の行動で気になったのはリュークと初めて会ったシーン。原作の夜神月を知っている分、リュークの登場に驚き慌てる月は年相応の男子高校生に見えた。原作ではすぐに状況を受け入れるからなぁ、あの超人は。おまけにデスミュでは、現れたリュークに一度ノートを返そうと差し出している。その行動によってこの時点ではまだ月の覚悟が固まりきっていないようにも見えて、デスミュと原作の違いに滾った。どちらもよい。原作の達観しきっている夜神月もいいし、世界を変えようと決意しながらもまだ心の奥底ではデスノートの使用を躊躇っている弱さが一瞬見え隠れする浦井トもよい。柿澤月さんはどういう感じなんだろう。リューク登場時にはまだ迷いが垣間見える月が新宿での覚醒以降振り切れて、大黒ふ頭の倉庫で死ぬ直前、銃を撃ったりリュークに縋り付いたり無駄な足掻きを繰り返すのが、死神たちが言っていた「人間」という存在をまさに体現している。足掻きっぷりの無様さに惚れ惚れする。冒頭のピュア月との落差が凄まじくて、浦井トさんに圧倒された。死ぬ間際までキラの行動の正しさを主張する姿が、これでこそ夜神月~~~!!!生よりもキラであり続けることに執着していそうなのが最高オブ最高。

小池徹平さん。L。
小池さんが舞台で大活躍なのは知っていたけれど生で観るのは今回が初!次は『ロッキー・ホラー・ショー』の予定。原作『デスノート』読者の中ではLはやっぱり1,2を争う人気キャラクターだし、松ケンさん演じる映画のLが導き出した解決方法がこれまた至高だったのもあって、デスミュという違う媒体とはいえLを演じるのは大変そうだと観劇前は思っていた。小池徹平さんとLのイメージが結びつかなかくて意外なキャスティングだとさえ感じていた自分だけれど今はもう猛省。小池L素晴らしい~~~!小池徹平さんの作り込みが凄まじい!小池Lの行動の一つ一つにLらしさが凝縮されている。右側に向き直ったかと思えばすぐさま左方向へ歩くところとか、推理に集中し始めると他のことに注意を払えないLらしすぎでは!??それに何と言っても、姿勢が常にL。驚くほどにL。声を張り上げて歌うときでさえ前傾姿勢で猫背っぽさを崩していなくて(ポケットに手を入れているときもあり)、それでいて歌声は高らかってどういうことだってばよ。ポケットに両手を突っ込んだまま段差を無造作に降りる姿もものすごくL。小池徹平さんはキュートな人だと思っていたけれど、小池Lは男性みに溢れていて動揺した。デスミュで最も雄っぽさを感じたのは小池L。それなのにカーテンコールではフードをすっぽり被ったりしちゃってキュートの極みだし、小池徹平さん恐るべし!
Lの最初のソロナンバーの一言目が「怒りとは心を映す鏡」とある通り、小池Lはまあ煽る煽る。相手の怒りを引き出すためだろうと理解はできるけれど、月へはもちろんのこと、月がキラだと疑惑を抱いて以降は総一郎パパへの一言一言がボディブローのように重い。煽り耐性ついていない総一郎パパが気の毒で、気の毒で。総一郎パパのライフはもう0よ!月への「これは貴重な手がかりだ」の言い方が意識的に相手の不安を煽る響きっぽい一方で、総一郎パパへの「あなたの息子さんがさせてるんです」発言はすごく自然にさらりと言っていて、本心からそう思っていそうな恐ろしさがまさにL。そんな小池Lの感情が乱れたのは、拘束されても何も吐かないミサミサに対して死神の存在を尋ねるシーン。ただ、この言い方は日によって調整されているのかも(もちろん私が気づけないだけで他のシーンでも様々な調整が行なわれているだろうけれど)。二回目観たときは「じゃあ死神は!?」とこれまでで一番感情を露わにして詰問していたけれど、一回目ではここまで激しくなかった気がする。頑ななミサミサにLの方が追い詰められている感があるので激昂した言い方の方が好み。
デスミュでの心残りとしては、Lが月に対して何かしら見える形で一矢報いる場面があればなと。Lが最期を迎えた後、生前に仕掛けておいたトリックにより月が追い詰められた結果、リュークデスノートに名前を書かれる的な?月に対して煙に巻くでもなく結構直球で張り合ってきた姿にLの負けず嫌いな性格を垣間見たので、この幕切れは無念だろうと考えてしまう。ただこれは、二人の天才の対決という形を崩さずに幕を下ろした映画版の改変が好きだからこその気持ちかも。デスミュの主題は愚かな人間と無常観を全面に押し出しているので、あまり夜神月vsLという構図になっても話が逸れてしまいそう。人間同士の心理戦なんて無意味で取るに足りないことなんだーーー。小池Lを好きすぎるが故にもっと天才要素を見せつけていただきたい!という気持ちが湧き上がるけれど、こればっかりは仕方ないのか。

唯月ふうかさん。弥海砂ミサミサ
さすが宙を飛んでいたピーター・パン!唯月さんの歌声はいつまででも聴いていたくなる。二度目に観劇したときは少しだけ声が擦れ気味で大丈夫かな?と心配したけれど、後半は全く気にならなくなった。長丁場の舞台は大変そう。原作や映画に比べれば大分コメディ色を薄めて、キラに感謝するあまり妄信して夜神月に全てを捧げる存在となったミサミサ。それでも可愛さは損なわれていなくて、いいでしょ?のポーズ最高。ミサミサだけで5枚組セットのブロマイドとか売り出そう。金髪ツインテールと黒髪ボブ両方で。何十枚CD買ったらチェキ撮れますか。新曲にキラ宛のメッセージを含めるというのが原作でもない発想で(結構あからさまな詞である気もするが)、トップアイドルであることを活かした作戦がデスミュのミサミサらしくてよい。デスミュではどの登場人物にも「らしさ」が詰まっていて、原作リスペクトに溢れている。シリアス要素が多いミサミサ関連でほんわかできたのは、大学構内に来たミサミサがつきによって抱え上げられるシーン。両脇に手を添えてひょいと!唯月ふうかさん軽っ!
ミサミサで一番好きなのは拘束シーン。Lに拘束されても、「私の勝ちだよ」と言ってのける姿が本当にたくましい。拘束された状態でのLとの言い合いでは、夜神月=キラによって救われた存在もたしかにいるんだと突きつけられる。そして、ラストに登場した喪服姿(?)のミサミサ。無言のままでその両手からは砂がこぼれ落ちていく。この演出の意図については観客に委ねられていて、そういう余地があるのがたまらなく好き。1.無常観を零れ落ちていく砂で表現?2.ミサミサが生への執着を捨てたことを表現?3.砂になり果てたレムを(その存在さえ忘れたはずの)ミサミサが弔っている?などなど、色々妄想たくましく考え込めて幸せ。ちなみに、2.が自分の中では一番辛い解釈。M-2「哀れな人間」でリュークとレムが「所詮人間なんて指をこぼれる砂をすくい続けて」と歌うように、デスミュ界の普通の人間ならば、こぼれていく砂に何かしらの反応を見せるはず。対してミサミサは微動だにせず、ただただ両手から砂を零し続けていく。これはミサミサが人間としての生への執着をすでに捨てていることを示唆、している?そもそも、ミサミサ生存説自体が危ういところはある。うーん。他の方の解釈が聞きたい!二回目に一緒に観に行った相手は、世界を正そうなんて試み自体が無駄だった……ああ無常……感をあのこぼれ落ちていく砂に込めているのでは?という考えだった。

髙橋果鈴さん。夜神粧裕
デスミュの清涼剤、粧裕。原作での粧裕は正直あまり出番はないキャラクターなので、デスミュで登場すると公式サイトで知ったときは意外だった。実際にデスミュを観てみたら、天真爛漫で兄のことを純粋に尊敬している粧裕の存在によって夜神家の悲劇性が一気に高まっていて、なるほど、粧裕の存在はデスミュをさらに悲劇たらしめるピースとして必要なのだと納得。ラスト、倒れている月の姿を目にしてその場に座り込んでしまうのが痛々しい。
粧裕、バキュンのポーズ可愛すぎませんかね???リュークがうっと胸を押さえて倒れたから、「ハートを盗まれた」ぐらい言うのかと思ったらまさかの「くのいち」発言で思いきり笑った。くのいち、粧裕。惜しむらくは、粧裕と総一郎パパが一切絡まなかったこと!粧裕に甘い総一郎パパのデレデレしたところが見たかった。粧裕は月以外の人物とは一切絡まないので、世界と月を繋ぐ唯一の架け橋のように思えてくる。最初はぴったり寄り添っていたのに、第2部で月の自室を覗き込む粧裕は明らかに怯えて距離を取っていて、彼女の憧れた夜神月が別物に成り代わっていっている恐ろしさが感じられた。

濱田めぐみさん。レム。
初登場時は、一切温度を感じさせない冷徹な雰囲気で言葉も少し拙い。横たわる美しいレムを最前列で凝視したいと何度思ったことか!レムのヴィジュアルを作り上げた美術班の方々はすごい!同じ死神ではあるもののリュークとは異なり、人間の愚かしさを「悲劇」だと言っていたレム。リュークとレムの違いを端的に一言で示したこの歌詞、最高では!??デスミュの歌詞カードはどれだけ読んでいても発見があるから飽きない。ミサミサと出会って以降少しずつ確実に変わっていくレム。ミサミサと初めて言葉を交わしたときの「何てピュアなんだ」では、レムの言葉に初めて温もりが加わったような印象さえ受けたからたまらなく好き。ミサミサに出会って以降は、絶え間ない心配の言葉から母性のような愛情が垣間見えて、ミサミサとレムの関係最高すぎる。この二人だけのときは照明も丸みを帯びたものが多い気がしていて、そういうところでも柔らかさを感じた。終盤の圧巻の歌声には涙が出そうになる。

石井一孝さん。リューク
ゆるキャラじゃないよ、死神だよ。「俺、リューク!」のルフィ感が凄まじい。あの言い方、すごく愛らしくないですか???初めて観たときは、リュークがあざと可愛いぞ!?と思わず動揺した。そんな雰囲気で油断させておいて(意識的ではないだろうけど)、紛うことなく恐ろしい死神だから平伏すしかない。デスノートに触れた人間がリュークの姿を初めて視認する際、必ず仰向けに寝転んだ体勢から起き上がっての挨拶だけど、あれはリュークにとっての儀式なんだろうか。ただ単に、あの動作が好きなだけ?人間めいた行動をすることで人間を皮肉っているのかなとも一瞬思ったけれど、リュークについては考えても考えても謎だらけ。リュークの虚無感たっぷりのセリフには芯から冷えていくような恐ろしさがあって、ラストのあの淡々とした言葉には、「退屈」に辟易しているどころか、憎んでさえいるように感じられた。
デスミュのリューク夜神月を常に観察対象として捉えている感が強い。原作では相棒らしさがあったけれど、デスミュでは一線置いている雰囲気。退屈か面白いかを判断基準にしているリュークにとって、デスノートにまた名前を書き続けるだけの日々に戻ろうとしている月のそばにいることはありえないからこそ最後に下した判断に納得できる。退屈な存在になれば早々に見限るというリュークの行動に納得できるだけの下地が、冒頭からひたすらに積み上げられていた気がする。夜神月とLの凌ぎ合いを傍観していたときがリュークにとっては一番退屈を忘れられた瞬間なんだろう。というか、月劣勢のときの方が楽しそうでさえあった。Lに負けてたまるか!と足掻いている月の行動は、死神が特等席で眺める喜劇として最上だったのか。

別所哲也さん。夜神総一郎
別所さんってもう高校生の息子を持つ父親役をするお年なのか!とまずそこが意外だった。で、次に、初演が鹿賀さんというのは知っていたから、別所さんだと結構違った雰囲気だなとそこでもまた意外。でも実際に観てみたら、別所総一郎パパは原作らしさがありすぎて驚いた!父・息子の距離感よい!入学式の総代を務める息子に対してそれほど賞賛の言葉を送らないのが、原作の総一郎パパっぽさをものすごく感じた。デスミュにおいて総一郎パパは孤立無援の中、Lに反論を繰り返すし、非道な捜査を行なうLを批難もする。デスミュでは総一郎パパの存在によって、夜神月に対抗しているからといって、Lの正義が正しいわけではないと何度も唱えられている。単なる正義と悪の構図じゃなく、異なる正義同士の対立(しかもどちらも咎める存在がいる正義)というのがデスノートの最高なところ……!別所総一郎パパは歌詞を歌い上げるというよりも、感情を吐露するように呟くことが多い印象で、だからこそなおさら迷いが感じられてよかった。


デスミュ二回目観劇後にあまりに滾りすぎて、実家に置いてあるというのに電子書籍デスノートを買っちゃったよ……!スピンオフでヨツバ編やってほしい……と強欲なヲタクとしては思ってしまう。ほのぼのしたものが観たくなる衝動。ヨツバ編(5~7巻)は月とLの共闘で心底面白いので、デスノート未読の方々にも読んでもらいたい。月とLとミサミサで共同生活なんてするんですよ……、三人で手を繋いで輪になって回ったりするんですよ……。
原作未読の人が舞台をきっかけにして原作に触れる。原作読者が興味を持って舞台を観に行く。2.5次元舞台が目指す方向性ってきっとこういう幸福な相乗効果のはずで、デスミュはそれを健全に成し遂げている印象が本当に強い!ホリプロさま最高。デスノートを知らない方々がデスミュを観に行ったり、デスノートでミュージカルって何それ?と原作読者が不思議に思いつつもデスミュを観に行ったり。興味を持たせて劇場に足を運ばせるって容易じゃないだろうけれど、デスミュは再演まで成功しているコンテンツなんですよね、すごいなぁ。演技や楽曲や熱量、デスミュの訴求力は凄まじい!今はひたすら、WOWOW放送日の発表を心待ちにしている!

劇団☆新感線『髑髏城の七人 season風』LV

10/5(木)の『髑髏城の七人 season風』ソワレ公演のライブビューイング感想。ネタバレあり。以前行った風髑髏の製作発表感想はこちら。

seshiki.hatenablog.com

このライブビューイングが初めての風髑髏!チケットは今月分を1枚しか持っていなくて、LVを観ているうちに後悔してきた……。これ、好きなやつ……。ローチケで戻りがあったら買い足したい。やっぱり一人二役最高~~~!殿と同じ顔を持った二人の影武者という設定によって捨之介と沙霧の関係性や蘭兵衛のあれやこれやも説得力が増すと思うので、十三年ぶりの復活には滾るしかない!とは言いつつ、今回の風髑髏で初めて生でこの設定を目撃した。初の生ドクロはワカドクロだった新規の新規なので、映像でしかこれまで観たことがない一人二役にはどうしたって感極まる!ちなみに、推しドクロはアオドクロと鳥髑髏。ワカドクロも初めて生で触れたドクロなので大いに影響されている部分がある。アオドクロでは捨之介と沙霧の関係性が大好きすぎる。「俺と沙霧の秘密だよー」のセリフが最高だから多くの方にアオドクロも観てもらいたい。DVD持ってるけれど大スクリーンで観たくてお台場のゲキ×シネに行ってきたぐらい好き。風髑髏はかなりアオドクロみを感じて初っ端から心臓が高鳴りすぎた……!

全体的な感想としては、これぞ原点の『髑髏城の七人』!これまで映像だけでしか知らなかった一人二役設定が今ここに!!!13年ぶりに一人二役設定が復活するだけでラッキーなんて思っていたけれど、そんな期待を大幅に超えて面白かった~~~!ワカドクロでの改変が花髑髏・鳥髑髏と続いて、今後の月髑髏(恐らく極髑髏も?)でも踏襲されるけれど、一人二役設定やっぱり最高です。引き受けてくださった松ケンさん素晴らしすぎる~~~!天魔王のところで詳細は語りたいけれど、一人二役だからこそ成せる残酷劇も恐ろしかった。ぞくぞくする。それと、狸と猫可愛すぎでは???狸の細かい動きが逐一キュートで、どうした新感線!?って動揺した。新感線の使うパペットってもっと死んだ目をしていなかったっけ(偏見)。今回の風髑髏のパペットたちは皆あざといほどに可愛かった。

キャスト別感想。
松山ケンイチさん。捨之介。アオドクロみのある捨之介で最高だった……!もちろんただの踏襲じゃなく、人情に篤くて泣き虫という追加設定で何それ至高~~~と沸いた。当然沸く。やっぱり粋で女好きな捨之介はよい。裏表がないし、赤の他人の死にまで泣いちゃうし、ここまで素直な捨之介って初めてな気がする。新鮮。しかも、沙霧を抱き締めるときにはしっかり成長具合をチェックしているというスケベ成分もあって、これこれ!とアオドクロ推しとしては嬉しくなってしまう。沙霧との身長差が胸を貫くほどにドストライクで、沙霧キャスティング時には捨之介との身長差も重要な要素なのかな……だとしたら最高だな……とニヤニヤした。捨之介と沙霧の関係性、本当に大好きすぎる。
一つ気になったのは、蘭兵衛に対して「殿が死んで俺たちは自由になったんだ!」といった旨のセリフを吐くところ。赤の他人の死にまで涙を流す捨之介がかつての主人の死をそんな風に解釈するのか、とここは意外すぎて引っ掛かった。ただ、赤の他人の死にあそこまで心を砕ける捨之介なら、殿が生きていた頃にどれだけの地を這う者たちが犠牲になったかも理解していそうではある。そう考えると、松ケン捨之介って殿生前時も苦悩が絶えなさそう。これまでのドクロで言われてきたような、「俺たちは殿に夢中だった」みたいなセリフが風髑髏ではなかった(多分?)ことを踏まえると、殿生前時の捨之介にまで思いを馳せてしまう。この辺りは、蘭兵衛を落ち着かせるために(これを言われて落ち着くかは謎)敢えて思ってもいないことを言ったのか、次の観劇のときに気をつけてチェックしたい。
アクションは何といっても足技!華麗なる足技!どこぞの海のコックですかと思うほどに足技が美しすぎて、しかも内腿までガッツリ惜しみなく晒されるものだから、何度息を呑んだことか。めっちゃ太腿付け根まで見えてるけど大丈夫ですか!?とこっちが慌てる。松ケン捨之介のおみ足は白かった。極端に露出が少ない鳥髑髏を観てきたから、もはやどこまで見えてもセーフなのか分からなくなる。ターンや側転も美しいんだ、これがまた!初っ端から、一人二役をするとは思えない運動量を見せつけられて恐れ戦いた。後半も全く陰りを見せない運動量で、松ケンさん素晴らしすぎる。基本の体勢として腰がしっかり据わっているからどのアクションも見映えしていて、大河も経験されている方は違うなぁと今更な感想。そして、風髑髏の武器は瓢箪か~と当初侮っていたことをここに告白します……。瓢箪最高かよ!稲妻より速い掌返し!あの瓢箪のミニストラップとかグッズとして売ってほしい。買う。

松山ケンイチさん。天魔王。ドクロ原点である一人二役設定を任されたのが松ケンさんでよかった~~~!最高だ~~~!製作発表を見学したときから松ケンさんならクオリティーは確実に保証されているなーなんて何目線だって感じのことを思っていたけれど、期待値を軽々と超えていた。一人二役設定だからこそあっと驚く早変わりもある一方でその見せ方に拘泥はせず、捨之介と天魔王の掲げる理想の対立を軸として描かれいて、製作発表で語られていたのはこういうことかと納得しきり。捨之介と天魔王ではそもそも纏う雰囲気からして圧倒的に違っていて、その双方を行ったり来たりする松ケンさん、本当に凄まじい。松ケンさんの演技の幅と深さを堪能!
天魔王の外見は清々しいほどに織田信長に寄せていてこれぞ影武者設定~~~!殿~~~!マントの翻し方が美しすぎて見惚れるしかない。それぞれの天魔王のマント並べて展示してほしい。どの天魔王のお召し物も好きです。対峙したときの蘭兵衛の反応からして、天魔王の言動は殿の立ち居振る舞いそのものなんだろうと思えた。勝つかは分からないと不敵に笑って言い切ってみせる天魔王なんて斬新。これは人たらしだ。信長公に寄せきっているので天魔王本人の感情はほぼ窺えなくて、それがまたある意味底知れない恐ろしさがあった。空っぽ。天魔の御霊という説に最も説得力のある天魔王かもしれない。一人二役だからこそ無界の里襲撃の際は和気藹々とした雰囲気からの落差が衝撃的で、圧倒的蹂躙には目を覆いたくなる。だが、そこがいい。残念なのは敦盛がなかったことぐらい。敦盛は私の中でかなり重視している演出だけど、新感線的には別にそうでもないのだろうか……。
天魔王関連で滾ったのは、家来の瞬尾が喉を差し出すシーン!あれ、最高オブ最高の演出では!??例えばあの場面で自らの刀を抜いていたら、仕えてきた主に裏切られたらそりゃそうするよね、と納得できる。それなのに、天魔王から刀を向けられて明確に言葉も付け加えられて、それでもなお喉を差し出すって!??天魔王の人となりを理解しているからこその最後の忠義なのだろうか。そうして、抵抗もせずに喉を差し出した部下を躊躇なく斬り捨てる天魔王の冷酷非道さよ~~~。お勤めご苦労~~~!あああああ、この演出大好きすぎる。今後のドクロでも使われてほしすぎる。次に生で観るときは両者の表情をチェックせねば。

向井理さん。無界屋蘭兵衛。向井蘭兵衛は未練後悔による破滅まっしぐらコースで、あの結末は成るべくして成った感が強い。八年ぶりに会ったはずの捨之介に対して驚いている素振りもなく、「生きていたのか」と非常に淡々と言ってのけた向井蘭兵衛。その一方で、狸穴二郎衛門の登場には「何故!?」(だったかな)と声を荒げて詰問の節さえあった。過去の絆よりも、今ここで殿が本来座すべき立場に取って代わろうとしている秀吉・家康へのどうしようもない怒りが感じられる。
向井蘭兵衛、序盤は驚くほどに無味乾燥だった。捨之介たちと再会した際に無界の里から女性の悲鳴が聞こえたとき、他メンバーは駆け足で向かうのに、向井蘭兵衛は大して変わらない足取り。ここ、ぞくっとした。無界の里になんて何の愛着も持っていないのでは、この蘭兵衛……?もちろん、女性たちの鉄砲の腕前を知っているからあまり慌てていないというのもあるかもしれないけれど、それでも蘭兵衛の闇を垣間見たような気がした。ただ、無界の里をいい街だと捨之介に褒められたときの「そうかな」がものすごく無防備で、ここで初めて素の蘭兵衛を見たような心地。「一度壊れたあんたが」と極楽太夫の言葉にあった通り、向井蘭兵衛はすでに壊れたものを騙し騙し無理に使っている感があって切ない。だからこそ、「ここで誰が救われた?」というセリフが胸に突き刺さりすぎて辛い、辛いよ……。救われなかったのか、蘭兵衛……。こうして改めて言葉にされてしまうとダメージが大きい。
小説版髑髏を読んだばかりだからなおさら強く思うのかもしれないけど、向井蘭兵衛さん、小説版蘭兵衛に合ってる気がする。向井蘭兵衛に、女を斬っていたら勃ったとか死ぬほどクソ外道なこと言ってほしい。これ、私自身の性癖じゃなくて(いや好きだけど)、小説で本当にそう言っているので!(※ここまであからさまには言っていない)いや~~~小説版蘭兵衛のクソ外道っぷり最高~~~。向井蘭兵衛は夢見酒以降のほぼ眉なし蘭兵衛になってからの方が好き。ビジュアル最高。吹っ切れ方も清々しいほどで、天魔王とこれから作り上げる理想に陶酔している感が凄まじい。夢見酒の際の口づけが二回というのも意外すぎて、これトチったのかなぁと最初は思ってしまった。申し訳ない。え、もう一回!?と激しく動揺した。一つ残念だったのは、極楽太夫に撃たれる際、捨之介がいなかったこと。後で一応触れられてはいたけど、あの場に捨之介にいてもらいたかった。殺陣は正直、向井さんにまだまだ余裕がありそうに見えるから(運動神経よさそうだし)、相手役の髑髏党たちももう少しスピードを上げちゃってもよさそう。次に生で観るときにどうなってるか期待!

岸井ゆきのさん。沙霧。岸井沙霧、すごくよかった~~~!製作発表時に拝見したときに小柄な方だなぁと思っていたけれど、捨之介との身長差がドンピシャ!捨之介が抱き締めたらすっぽり納まるんだ~~~!衣装も可愛くて、おへそと背中のチラ見え加減が最高。肌が白くて滑らかで、映画館でのズームにここまで耐え得る肌って何事!?腕に紐的なものを結構強めに巻いていたから、その箇所だけ肌がぷっくりとしていて、締め付け大丈夫かなと余計な心配までしてしまった。沙霧の身体能力の高さには毎回驚くけれど、今回の岸井沙霧も抜群の運動神経!華麗な三点倒立?バク転?が、兵庫を制止する場面でのまさかのお披露目で、髑髏党相手のときに派手に見せた方がいいのでは?とまで思った。天魔王の顔を見て混乱した沙霧が、助けに来た捨之介を刺してしまうシーン。その刺し傷をその後何度か笑いに持っていっているところが、月髑髏の捨之介と沙霧の空気感の成せる技だなぁと印象的。二人の仲良しな感じがひたすらに尊くて、カーテンコール時に二人で両腕を上下に振っている(風を意識?)のさえ可愛かった。
一人二役設定では殿の影武者だったという本来の設定が発揮されて、捨之介と天魔王の対比だけじゃなく、影武者なのに生き残ってしまった捨之介と影武者を犠牲にして生き残った沙霧の対比が浮き彫りになる。この対比が最高オブ最高。捨之介にとっても沙霧にとってもお互いが特別な存在なんだ。今度こそ護らなければならない。ああ~~~、捨之介と沙霧いいなぁ。今度この二人の関係についてはまた別で書きたい。

田中麗奈さん。極楽太夫。冒頭の極楽太夫を拝んだ感想:天女様かな!??背景には仏様もいるし!ああいう少し中華テイストのある服装がお似合いすぎて、田中麗奈さんには今後どこかで式神役をしてもらいたい。無界の里でのやり取りはアオドクロとほぼ同じ構成だった気がする。男たちの金で綺麗になる!って言い切る無界の里女性陣最高すぎる~~~!たくましい!アオドクロ感が強い無界の里だったので、極楽太夫が猪になって出てきたらどうしようかと過去ドクロを知っている身としては少しワクワクした。まあ、そのくだりはなかったけれど。ただ、源右衛門が登場しないってことは極楽太夫の肩チラ見せがないってことで、そこだけ血の涙……。顔見世のときに一瞬の肩チラ見せはあるといえばあるし、太腿のかなり大胆な部分までスリットの入った衣装でおみ足も拝めるんだけども、やっぱり口惜しい。お色直し後のレトロ可愛い赤の着物も美の極致なので、新感線もブロマイド商法してほしい……。買うから。買い漁るから。
向井蘭兵衛と並び立ったときは二人揃って「美」の一言。二人ともお顔が小さい!気風のいい極楽太夫だから蘭兵衛とも相棒の色が濃いかと予想していたけれど意外とそんなことはなく、蘭兵衛の腕の中に躊躇いなく飛び込んだ瞬間は、距離感~~~!?と慌てふためいた。極楽太夫と蘭兵衛の間に男女の関係が見え隠れするとすごく昂ぶるのは私だけですか、そうですか。

山内圭哉さん。兵庫。髑髏党にいそうな風貌を逆手に取って、勘違いから始まる風髑髏。これ、製作発表の段階からもう決定していたのかな。製作発表時に、「髑髏党にいそうなんですけど」と自らおっしゃっていた山内さん。あのとき爆笑してしまったけれど、まさか沙霧に勘違いされて逃げられる展開だとは!これは山内さんにしか出せない面白みで最高!しかも、ただのスキンヘッドじゃないんだなーと何気なく眺めていたあの髪形までもがまさかの伏線。猫じゃらしは全く想定していなかったので不意打ちすぎて噴き出してしまった。
山内さんの兵庫は何というか、平熱で崩すってこういうことかと。今までの兵庫って熱さが前面に出ていた印象だけど、キレキレのヲタ芸を見せてもどれだけイジられても、山内兵庫は自分自身の熱に翻弄されてはいない。全てを見透かしてさえいるような独特の雰囲気が出ていて、山内兵庫興味深すぎる。それでいて、極楽太夫相手にはやっぱりピュアなところもあるんだよな。兵庫をここまで気にしたのは今回が初めてかもしれない。荒武者隊のV字フォーメーション的見得の切り方も粋!これ、センターで拝みたい。くんろネタは「くんろ、くんろ……、黒い葉っぱ?」と地面の水を指差して、毒か?排気ガスか?ととんでもない方向へ。ここは何時代なんだ。「排気ガス……のはずはないから、毒か、毒だな」と最後は毒で決定。くんろネタは周囲全員が兵庫を凝視するだけで孤立無援なので(「毎回変えなくていいんだよ!」と最後に生瀬さんがツッコミを入れてはくれる)、山内さんにはこれからも頑張っていただきたい。

生瀬勝久さん。狸穴二郎衛門。生瀬さん大好き!製作発表時の気合いからも感じていたけど、あれで初新感線って!おにぎりを食べようとする狸穴二郎衛門から始まる風髑髏はよい。あからさまに一癖も二癖もある生瀬さんの狸穴だけど、沙霧をちゃんと助けてあげるとかおえまに手鏡を贈るとか、逐一素敵な行動もしている……!しかも、序盤で捨之介と再会した折には明らかに意味深な効果音つきだし、「あなた様は!?」とか捨之介相手に言っちゃうし、絶対何か裏があるおじさんと敢えて主張していく感じ最高~~~。ラストの「馬引けーい!」は堂々たる貫禄で、これからこの土地を治めるんだ!という気概が感じられるから本当によい一言。風髑髏で復活してくれて嬉しい!
狸穴二郎衛門と女性のくだりはどのドクロでも好きなんだけど、今回おえまは里の外で亡くなったから顔は見えない。そこだけもったいない。ただ、生瀬さんの狸穴はおえまを心の底から可愛がっていたんだろうなと思えるほどに、形見の手鏡に触れる手つきが優しくて、無性に泣けた。おえまとはけるときに、無界の里の女性陣に「何人か見にくるか?」と言っていたおじさんと同一人物とは思えない。あの一言笑った。

橋本じゅんさん。贋鉄斎。てんこ盛りすぎる!過多ですよ過多!楽しいからいいけど!神父と同性愛、SM、Buono!蕎麦屋、他にも色々。初っ端から、松ケン捨之介に「今の名前は、L?平(たいらの)…?」と中の人ネタを剛速球でぶん投げてきて、贋鉄斎自由すぎる。爆笑した。Lや平清盛ネタがまさか髑髏城で繰り出されるとはさすがに思っていなかった~~~!中の人繋がりで言えば、向井蘭兵衛のことは「異様に顔が小さい。顔の大きい俺のことを羨ましがってる」と話していて、もうじゅんさんはずるい。どれもこれも面白すぎる。男の子たちにそばを振るいたいとかでいきなりの蕎麦屋開店とか、本当に贋鉄斎タイムはお腹が痛い。
馬のセグウェイでの登場にも驚きすぎた。生瀬さんが製作発表で言ってたセグウェイ、じゅんさんが使うのかーい!馬に語りかける内容が「昼のお客さんより若いから興奮してるのかい?いや、お前ちゃんとよく見たか?結構召してるぞ」云々で、召してるって言葉のチョイスがもう好き……とときめく。今回の百人斬りは真面目ではないけれどすごく好き。何と言ったって開始の仕方が好き。捨之介が暖簾をくぐって「やってる?」の一言から始まる斬り合いって何だよ~~~!意味不明だけど好き~~~!このときの松ケン捨之介の「やってる?」の言い方が本当にたまらない。最高。映像化早く。
カーテンコールのとき、じゅんさんがLV用のカメラを指差してキャスト陣に教えてくれたおかげで、皆様手を振ってくれた。最高。じゅんさん優しい。LV用カメラを意識して手を振ってくれるって意外とこれまでのドクロではなかった気がするから新鮮だった。

本当に一人二役設定復活嬉しすぎる!松ケン捨之介大好きなので、今月の生観劇のときは目に焼き付けてこよう。チケット買い足したい……。ローチケ眺め続けるか……。